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美しき姦婦たち
【その他 官能小説】

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美しき姦婦たち-2

「あたしね。もう娘を女として見てるの。自分もあの頃そうだったから。だから嫉妬もする。でもね、娘だから義兄さんとの関係も許せるのよ。他人だったら耐えられないわ。おかしい?」
(おかしい……と思う……)
が、坂崎は答えずにいた。

「もちろん、いくら女として見てるっていっても、高校生だし完全な大人じゃない。それにいますべきことは他にある。でも女としての要素は備わって生き生きと活動してる。それを止めるつもりはないの。自由にさせたいの。自分の人生だから」

 真希子の話から受ける自由という意味、感覚は彼には理解はできない。だが、真希子と絡んでいる現実は事実であり、棄て去ることはできそうもない。
「義兄さん、愛してる……」
真希子は彼の肩に唇を押しつけてきた。身をよじると彼女の体が背中からずれて、そのまま横抱きにした。

「俺だったら……」
乳房を揉んだ。
「愛していたら独り占めしたい……」
「それはあたしだって、義兄さんを自分だけのものにしたい。でも、言ったように、人の心には必ず起伏ができる。そう思うの。それに、義兄さんは娘たちを知ってしまった。あたしにはない若さを持った女を……」
 非難する言い方ではない。
「あたしを愛してくれる?」
「うん、もちろんだ」
「あたしだけを、ずっと?」
「うん……」
真希子は間を置いて、
「美緒や彩香が抱いて欲しいって言ったら?」
「え?……何を言うの」
「迷うでしょう?意地悪じゃないのよ。性の世界の歯止めって、弱いものだとあたしは思う」
坂崎は気持ちを隠すように笑ってみせた。
「初めから型に填め込まない方がいいわ。相手によって愛し方もちがうでしょう?自由でいいの」

 真希子と子供を産む話までしていて同時に美緒たちに触手を伸ばす邪念は浮かばない。だが、真希子はそう言っている。
「そんなことになって、平気なの?」
「平気じゃないけど、あの子たちが望んだら、仕方がないわ。あたしだって誰かと寝るかもしれないわ。ふふ……嫉妬も愛でしょ。会った時にあたしだけを見つめてくれたらいい」
どこまで本気なのかわからない。
「それから、二人だけの時、名前で呼んでもいい?」
「いいよ。真希子」
「悠介さん……」
「悠介でいいよ。真希子」
「なんだか恥ずかしい」
抱き締めて愛撫が始まった。
「悠介、感じてきちゃった……」
先ほどの蜜に新たな液が加わって滑らかに重なった。

 二度目に果てたあと、真希子はそのまま寝入ってしまった。
疲れを感じていながら、彼はなかなか寝つけなかった。
 わかったようでわからない話になった。自分の意思が存在しないような、どこかに空白を覚える気持ちであった。理解するより成行きに任せて……。そう考えるより方策はない。少なくともそう考えなければ気持ちが納まらない。
(自然にしていることか……)
とても自然とはいえない『自然』ではあったが。……


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