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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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時間を潰す乗客達-2

「そうよ、それに理紗の相手が滅多に電車に乗らない人で、今から乗る電車を逃したら、今度はいつになるかわからないそうよ。もう何度も説明したでしょ、ここまで来てながらいい加減にしてよ」

言葉の通り、もう何度も説明したであろう娘が辟易しながら説明している。

「はいはい、わかったわよ。でも理紗さん、恵里香が何を言ったか知らないけど、あたしがこんな事に出向くなんて特別のことだから覚えといてね。大体普段の移動は運転手付きなんだから、電車なんてあまり乗ったこともないのよ」

悦子は不承不承に了解の意を示した。育ちのせいかその顔には傲慢な色が浮かんでいる。普段の移動は運転手付きの高級車だとさりげなくアピールすることも忘れない。

「わかってますって。でも、恵里香ちゃんのお母さんも一度経験したら、病みつきになるかもしれないですよ」

「あたしに限ってそんなことありませんよ」

「お母さんは普段からそんなことばかり考えてるから、余り嬉しくないかもね」

いい加減にうんざりしていた恵里香は、我儘な自分の母親を茶化した。

恵里香自身は、母親の悦子の性格を熟知しており、今回のような理紗が持ち込んだ話を見聞きするのが好きなのは知っている。

我儘に育った悦子は、ただ単に人の言うことを何でも反対したいだけなのだ。

今回のことも恵里香から見れば、悦子が一番乗り気なのは明白だった。

「恵里香、人聞きの悪いこと言わないの」

悦子はそれでも、過去の事例でも思い出したのか、唇の端を上げてニヤリと笑った。

理紗はそんな親子の顔を黙って見ていた。理紗はその悦子の性格は娘の恵里香にも引き継がれていることを知っている。

「まあいいわ、で、理紗さん、どんな男なの。恵里香もその男を知ってるの」

「いいえ、恵里香ちゃんと顔見知りだったら頼めないですよ。写真を持ってきましたから、よく見て覚えて下さいね」

理紗はそう言って、バックの中から1枚の写真を取り出して傲慢な母娘に手渡した。

「あら、結構いい男じゃないの」

母親が写真を見ながら嬉しそうに言った。

「本当、勿体ないわね」

「恵里香、また悪い癖が出てきたんじゃないの。体裁が悪いから今度の男とは飽きずに続けて頂戴ね」

悦子は恵里香の男癖の悪さを知っているので、釘を刺した。

「大丈夫よ、でも、嫌になったら排除する方法が有るんだから気が楽だわ」

「まあ、確かにね。オホホホホ」

悦子が人目も憚らずに笑いだすと、恵里香も母親と一緒に面白そうに笑いだした。その拍子に2人が見ていた写真が床に落ちていった。

母娘の後ろで話を聞いていた優子が、その写真を目で追い掛けた。

そしてその人物を見た優子は、驚きの余りに体を硬直させて目を見開いてしまった。

優子は直ぐに気を取り直して、その事を陽子に教えようと見開いたままの目を陽子に移した。

しかし、陽子は小さく首を振って優子に動かないようにアイコンタクトを送ってきただけだった。

「あっ、いけない。そろそろ行かないと間に合わないわ。あっ、その写真あたしが持ちます。2人が持ってるのが万一バレたらややこしいですからね」

理紗の言葉で3人の女は店を出る身支度を整えだした。

驚く優子を尻目に、陽子はもたつく3人の女よりも先に伝票を掴み、会計を済まして店を出て行った。それに続いて3人の女も会計を済ませて店を出た。

残された優子は、まだ目を見開いたままだった。

「どうしてあの人達がマスターの写真を持ってるの?」

優子にはさっぱり訳がわからなかった。


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