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殺人幇助財団エカフ
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近江老人の場合-2

翌朝起きると今度は電話が来た。若い男の声がする。

「近江さんですね。計画は完了しました。

実はあなたが昨日行った除雪作業が殺人の為の実行の全てだったのです。

緊張するとミスをするので、わざと準備段階の作業だと言いましたが、あれが本番です」

「しかし、あれでどうやって15人の暴走族が死ぬんですか?」

近江は何か騙されたような気になって食い下がった。

「はい、あなたが車道に雪をばら撒いた箇所ですが、あれが日中解けて路面が水で濡れた状態になったと思って下さい。

それが夜間の冷え込みで凍ってアイスバーンになったのです。

でもあの箇所は長い直線の後のカーブ地点ですので、バイクで猛スピードで来た3列のバイクはスリップの為みんなカーブを曲がりきれずに谷底に落ちてしまいました」

「ガードレールがある筈ですが」

「それは我々の別働隊が彼らが来る前に外しました。

さらに車道と歩道の段差にはバリアフリーになるようにスロープ板を設置しました。

彼らはなんの妨げもなく谷底に落ちて積もった雪の中に埋もれてしまいました。

その後、我らがガードレールを元通り設置し、スロープ板を撤去したので証拠は残っていません。

きっと春になって雪が完全に溶けるまで彼らは発見されないでしょう。

また、アイスバーンは日中のうちに溶けて蒸発するでしょう。

だからバイクがスリップした跡も残らないと思います。

あなたは何も知らない振りをして黙っていて下さい。

それでは最後の指令です。この携帯を完全に壊して下さい。

それでは、もしあなたが変な良心から、自分のしたことを告白したとしてもそれはあなた自身の問題で私たちとは全然関係のないことだと思って下さい。

とにかくあなたがこの世から消えて欲しいと思った15人は死にました。

どうか、安らかな人生をお過ごし下さい」

近江は金槌で携帯を粉々に壊すと、現場を見に行った。

そこにはアイスバーンの上に3列のスリップ痕が不規則についていたが、ガードレールから谷底を見ても雪崩のように雪が崩れた跡は見えたがバイクの影は確認できなかった。

「なるほど春まで気がつかないだろう。いや、下手をすると発見まで数年かかるかもしれない」

そう呟いた近江の顔は自然に綻んだ。

近江は黙って手を合わせるとそこを後にした。

「さて、もどって孫の霊前に報告するとするか」


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