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『graduation』
【青春 恋愛小説】

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『graduation〜ファイティングガール〜』-4

「今日就職決まったサークルの女って言ったら『雪見』だろうな。ってかあいつ、俺にはまだ連絡来てないんだけど・・・」

佐伯先輩ともその『雪見』先輩は仲が良いらしく、佐伯先輩は私の相談そっちのけで、雪見先輩が自分に就職が決まったことを報告してこないことに怒り出した。

「あの・・・その雪見先輩って都築先輩とは・・・・・・」

「ああ、奴等仲良いよ。けど心配することない亜紀ちゃん。あいつらがくっつくことなんてあり得ないから。」

自信満々に言い切ってくれた。

「2人は似ているから仲良いだけだよ。むしろ奴等の掛け合いとか聞いていると、憎んでるんじゃないかってほど辛辣な時あるし、・・・好きな人にあんなことは言えないだろうってこと言ってるから。」

それを聞いて少しほっとした。
都築先輩の親友が言うのだから間違いないよ、そう自分を落ち着かせた。

「それに雪見が男と2人で飲みに行くのも珍しいことじゃないしね。俺もたまに行くよ。酒も馬鹿みたいに強くて、俺なんかあいつと飲むとその日は家に帰れなくて漫画喫茶コースだよ。でも勢いでやばいことやっちゃったとかそういうことするタイプではないから大丈夫だよ。・・・なんなら俺、雪見に電話してやろうか?」

佐伯先輩は人良くそんなことを言ったがそれは断った。
都築先輩が雪見先輩に、私という彼女がいることを打ち明けているか分からなかったから。

「じゃもう1時過ぎているし、もう一度ツヅキに電話してみなよ。それで出なかったら、もう一度俺に電話して。雪見に電話するから。」

なんてイイヒトなんだろう。広く浅く誰にでも優しく誰とでも仲良く、の都築先輩がこの人を親友とする理由が分かった気がした。

「ありがとうございます。」

私は電話を切ると、すぐ都築先輩に電話を架け直した。

トゥルルルルトゥルルルル
トゥルルルル
トゥルルルル
トゥルルルル

5回コール。留守電にもならない。

(お願い。つながって!)

祈るように携帯を抱きしめた。

「はい。」

都築先輩の声がした。

「都築先輩!もう帰ってきてた?」

私はすがるように言った。

「あぁ。亜紀、まだ寝てなかったのか。」

呑気にそんなことを言う先輩。

「そりゃそうです。女の人と飲みに行くっていうのに心配しない彼女がいますか?」

都築先輩が電話の向こうで小さく笑う気配がした。

そんなに心配しなくてもよかったってコト?
私が一人で不安になっちゃっただけってコト?

「亜紀が好きだよ。」


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