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『graduation』
【青春 恋愛小説】

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『graduation〜ファイティングガール〜』-2



都築先輩の存在を知ってからもうすぐ一年という時、私は意を決して告白した。
ゼミも終ってしまって、都築先輩との接点がなくなってしまう前に、言わなければならないと思ったから。
早咲きの桜の下、校内でも人通りの少ない路に先輩を呼び出した。

先輩は桜を愛しそうに眺めていた。

「桜、好きなんですか?」

男の人なのに珍しいと思って尋ねた。ちなみに私は桜の下には死体が埋まっているという話を聞いてから、あまり好きではない。

「桜の精はね、一途な女性なんだって。友達がそういう昔話を話してくれたことがあったから。」

都築先輩はすごく寂しそうに笑った。
その姿を見たら、もう言葉は選べなかった。

「都築先輩が好き。」

そう言うと都築先輩はビックリしたようだった。全く予想外という顔。

ああ、アウトオブ眼中だったのネ、と思った。

予想はしていたけれど、ちょっとショック。
でも、こんなところでは負けられない。
これからが勝負なんだから。

「先輩、彼女いますか?」
「・・・・・・いません。」
「好きな人は?」
「・・・・・・いないかな、今は。」
「じゃ付き合ってください。私、先輩を独占したいんです。」

どれだけ自己中なんだよ、って自分に突っ込みたくなった。

けれどもこうでもしなければ都築先輩は私を見てもくれないだろう。

ここでOKもらえるなんてサラサラ思っちゃいない。
いつか、都築先輩に振り向いてもらえる為の第一歩だ。

・・・なのに・・・
「いいよ。付き合おう。」

優しく都築先輩は笑った。
頭の中が真っ白になった。
私の台本に、ここで都築先輩がそんな風に答えるなんてことは書いていない。
ショート。
頭の回路がうまく繋がらなくなった。
だから、

「でも、いろいろ言われるの面倒だからしばらく皆には内緒にしておこう。」

そんな男の勝手な言い草にも黙って頷いてしまった。



そんな風にして始まった付き合いだったから、どうなることかと思っていたけれども、都築先輩は驚くほど優しく、かつマメで、私はどんどんハマっていった。
告白した日が最高潮にその人を好きな日、ということがこれまでは多かった私だけど、都築先輩に対しては全く逆で、付き合えば付き合うほど好きになっていった。

ホント付き合っている人をこんなに好きになるなんて馬鹿みたい、って思うほど。

都築先輩は、付き合い始めてからすぐ第一志望の会社の内定が出て就職活動が終ってしまったらしく、かなり暇そうだった。

だから毎日会って、毎日一緒にいた。

大切にされているということは肌で感じていたし、もしかして都築先輩ホントはずっと前から私のこと好きだったんじゃないかしら?と錯覚したくなるくらい、優しい目で私を見つめてくれた。

愛されている。


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