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rainy day
【学園物 官能小説】

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rainy day-2

『ッはぁッ…はぁ…』
部室の前に着く。部室の電気はまだ付いていた。
亜紀は静かにドアを開ける。
『待てッ亜紀!!』
亜紀に追いついた新井は、亜紀の腕を引いたが遅かった…
―グチュグチュ
『やんッ…達哉先輩ッ…イっちゃう…』
『友香ッ…』
『あッんん〜』
『はぁッ…はッ』
不自然に電気が消えた部室の奥の方で響く、肉と肉がぶつかり合う音と荒い息づかい。
『な…に…?』
亜紀は悟った。奥にいるのは達哉とマネージャーの一年生で、二人が何をしているのかを。
『な…んで…』
亜紀は新井の方を振り返ったが、新井は何も言わなかった。
『どうして…?』
亜紀は新井の手を振り払って、部室の奥に入って行った。
新井はもう止めなかった。
『達哉…』
『亜…紀!!』
亜紀は自分の目で確認した。二人の繋がっている様子を。
『これは違うんだ!!』
亜紀は眼下の状況を他人ごとのように見ていた。
必死で言い訳をする達哉。説得力のない姿。
亜紀は手に持っていた紙袋を達哉に投げつけた。
『痛ッ…』
『今日…何の日か知ってる?』
亜紀は気づかぬうちに泣いていた。
涙を拭いもせず、達哉を見る。
逆に達哉は投げつけた紙袋を見つめていた。
投げつけた紙袋から綺麗にラッピングされた箱が覗く。
『今日…付き合い始めて二年の記念日だよ…。』
『あ…』
『もう…いい』
亜紀はそれだけ言うと、部室から立ち去った。
部室の前には新井がいて何か言おうとしていたが、亜紀はシカトした。
『…ッ』
さっきまで綺麗な夕焼けが出ていた空は、いつの間にか曇り大粒の雨が地面に吸い込まれていた。
『…馬鹿ぁ…』
亜紀は叫んだ。
雨降る空に。
雨音は激しく、亜紀の涙も亜紀の叫びも消した。
雨は嫌い。
雨は全てを流してしまうから。
幸せだった日々も。達哉を愛していた気持ちも。
雨は全てさらってしまうから。

―ガラッ
「ッ!!」
教室のドアがいきなり開いて、亜紀はビックリして振り向く。
「新井くん…」
「よッ。」
新井とは、あの日以来話をする事はなかった。
何だか気まずかった事もあったし、何より達哉の側には行きたくなかった。
「まだ帰ってなかったんだ。」
「うん。委員会があってさ。」
「そう…」
「亜紀は日直?」
「うん」
亜紀は外に視線を移す。
相変わらず雨が激しく降っていた。
「「…」」
二人に沈黙が流れる。
「…あのさ…」
沈黙を破ったのは新井だった。
「達哉とまだ仲直りっていうか…どうなの?」
「…。」
亜紀は無言で席に戻り、机の上を片づけ始めた。
「…知ってるでしょ?まだ仲直りなんてしてないって事。」
「まぁ…」
「…許せるわけないじゃない。」
亜紀はボソッと呟いた。
「…だよな」
新井は椅子を引いて、ドカッと座った。
「話せよ。全部。」
「え…」
「だから…ずっと溜めてんだろ?」
「…別に。」
「話せって…。」
「話して…どうなるの?達哉が浮気した事実がなくなるの?新井くんは…新井くんは何も知らないじゃない!!」
亜紀は溢れ出る感情を抑える事が出来なかった。
新井にあたっても意味がない事も、過去は変えられない事もわかっている。


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