投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

デリシャス・フィア
【その他 官能小説】

デリシャス・フィアの最初へ デリシャス・フィア 24 デリシャス・フィア 26 デリシャス・フィアの最後へ

-5

 コードの先にはピンク色のプラスチックカプセルが付いていた。
 反対側はコントローラーとつながっている。

 まさかと思いながらもダイヤルをまわしてみると、卵型のカプセルが小刻みに震えだした。
 手指がぴりぴりと痺れている。

 あんなに真面目な花織がピンクローターを持っていたなんて。
 しかも動くということは、いつもこれを使って、一人で──。

 女友達の秘密を知ってしまった衝撃は、小田の体のどこを、どう走り抜けていっただろう。
 お湯が沸いたのにも気づかずに、唖然と立ち尽くすしかなかった。

 そんなとき、トイレを水洗する音が聞こえた。
 小田はあわてて、手にぶら下げたものを引き出しに戻して、興奮と後悔の入り混じった気持ちを落ち着かせる。

 トイレを出ると、花織はバスルーム横の洗濯機の中にショーツを落とした。
 新しい下着に穿き替えたのだ。

「コーヒー、作りなおしておいたよ」

 姿も確認せずに小田は言った。

「ありがとう」

 花織の声だけが返ってくる。

 そうして二人はまたパソコンの前にくつろぐように座る。

 二人きりでこんなにエッチな画像を見ているのに、小田くんはあたしに何もしてこない。
 遠慮しているのか、あたしに異性としての魅力が足りないのか。
 とっても気になる──。

「どうかしたのか?」

 花織の耳に小田の声が吹きかけられる。

「あたしがこんなことを言ったらキャラが違うけど、女の子には生理があるし、エッチして妊娠したら出産もあったりして。だから面倒臭いなあ、なんて思ったの」

 この場面で何が言いたいのかわからなかったが、小田はとりあえず頷いておいた。

「それに比べて男は気楽なもんだよな。子孫を残すために精子を提供するだけの存在なわけだしさ」

「そうは言わないけど、そうなのかな」

「どっちだよ」

「いろいろだよ、いろいろ」

「まあな。アダルトブログにのめり込む彼女たちみたいに、他人に言えない秘密ってのが誰にでもある。そこを簡単に覗けてしまう今の環境を壊さないかぎり、馴れ合い体質の社会は何も変わらない」

「どういう意味?」

 花織に返答を迫られるが、小田はさっきの彼女の秘密を意識するあまり、口が思うように動かない。

「秘密は秘密のままにしておくのがいいってことさ」

 うまくごまかしたつもりだった。

「小田くんのしていることは誰も褒めてくれないけど、その秘密を利用して彼女たちに関係を迫るわけでもないよね?」

「あたりまえだ」

「知ってもいい秘密だってあるんじゃないかな」

「知ってもいい秘密か……」


デリシャス・フィアの最初へ デリシャス・フィア 24 デリシャス・フィア 26 デリシャス・フィアの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前