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シテはいけないことをスルということ
【その他 官能小説】

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『マイ・リトル・リグレット』-4

 バスルーム横の洗面台から歯ブラシを持ってきて、M字に開いた両脚の中心めがけてそれを挿入した。
 そしてマニキュアを掻き出すように膣をこねくりまわす。

 気持ちいいのは知ってるから、いい加減に出てきてよ、もう──。

 勝手に溢れてくるエッチ汁が、排水口に向かって緩やかな道すじを描いている。
 それに加えて、湯船で戯れるような音が、くちゅくちゅちゃぷちゃぷと鳴るから、耳まで感じてしまう。

 これじゃあ駄目か──。

 気を取り直して、ほかの道具も試すことにした。
 箸を一膳、それからティースプーン、ピンセット、編み物で使う棒針とかぎ針。

 およそこれらで事足りるだろうと思って、正面に置いた鏡に局部を映しながら救出作業をやってみたところ、残念ながら良い結果は得られなかった。

 後片付けのことなどちっとも考えてなかったので、使用済みの道具たちは私の体液でどろどろに汚れて、一人前の男に生まれ変わったようにも見えた。
 それでも一応、三回もイけたのは収穫だった。

 明日は日曜日だから仕事もあるし、これからのことは明日考えようっと──。

 結局その夜は、下着を汚さないためにおりものシートをあてて、マニキュアと一緒にぐっすり眠った。



 翌朝は二度寝のせいで時間に余裕がなく、微かな異物感に悶々としたまま出勤した。

「今日の千晃、なんか顔色が悪いよ?」

 お昼の休憩でミックスサンドにぱくつきながら、姉御肌の美帆が私に言った。
 口につけたマヨネーズがチャームポイントになっている。

「別に、そんなことないよ」

「あたしの目はごまかせないざます。白状なさい」

 ほんとうのことなんて言えるはずがない。

「じつは、ちょっとだけ貧血気味なんだ」

「だったら休めばよかったじゃん」

「これくらいぜんぜん平気だってば」とピースサインを決めた瞬間だった。
 下腹部のあたりに鈍痛を覚えた私は、おにぎりの具に到達することなく食事を断念した。

「だから言わんこっちゃない。あとでお見舞いに行ってあげるから、ハウスで大人しくしてなさい」

「あたしは室内犬じゃないよお……」

 ぐすん、と私は泣きべそをかいた。
 しかしこうやって心配してくれる女友達がいるというのは、めちゃくちゃ心強い。

 というか、まともな理由で具合を悪くしているのなら、もっと素直に喜べたはずなんだけど。



 美帆の気遣いによって仕事を早退した私は、アパートに着くなり気怠い息を吐いた。
 病院で診てもらおうにも今日は日曜日で休診だし、もし診察が可能だとしても、こうなった経緯を医師に説明するとなると、色んな意味で私は傷物になってしまうのだ。

 だめだめだめだめだめ。
 恥ずかしくて、顔から火が出ちゃうよお──。

 火照った頬を手で扇ぐ私。
 そうして夕べとおなじく浴室にこもりっきりになって、シャワーのお湯で膣内洗浄してみたり、一人エッチみたいな真似をごにょごにょとやってみた。

 すると不思議なことに、黄色っぽいおりものが出たかと思うと、下腹部の違和感が嘘みたいにすっと消えていった。

 あの痛みは一体なんだったんだろう──。

 急に調子が良くなったもんだから、私はまたいけない一人遊びに夢中になって、とろとろにふやけたそこを快感の絶頂に連れていってあげた。

 事を終え、シャワーヘッドから滴り落ちる水滴の音に、胸のどきどきもしだいに消去されていく。

 とりあえず一安心、かな──。

 部屋着に着替えた身体をベッドにあずけて、ひとまず安静にすることにした。

 私はそこで悪い夢を見た。
 どんなふうに悪いのかはわからないけれど、とにかくネガティブな内容であることは確かだった。

 うなされて目が覚めると窓の外はすっかり暗くなっていて、寝汗を含んだキャミソールがちょっとだけひんやりした。

 そして何かに取り憑かれたように携帯電話をいじり、気になるキーワードを打ち込んで検索する。
 そこから導き出された事実を目にした私は、さらなる不安の渦の中へと引きずり込まれていった。

 子宮筋腫……、子宮内膜症……、カンジダ膣炎……、卵巣癌……。
 女性器疾患だけでも、こんなに色々あるなんて──。

 私はもう人体の仕組みの複雑さに目を回し、ひたすら後悔に後悔を重ねながら夜を明かした。


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