投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

仄か
【その他 官能小説】

仄かの最初へ 仄か 4 仄か 6 仄かの最後へ

-5


 ろくに時刻表も見ないで、行き当たりばったりの電車に乗った。

 早朝のせいか、車両の中は、とくべつ空いていた。

 乗客は皆、男女を問わず、眠そうな顔をかしげている。

 もはや朝焼けとも言えない白々した景色が、ようやく一日のはじまりを告げているような気がした。

 線路を駆ける電車の音をバックグラウンドに、昨日までのことと、今日からのことを、眠たい頭で考えていた。

『電車は人を運ぶのではなく、人の気持ちを運んでいる』

 今の自分に似合いの、そんな言葉が、照れもなく浮かんだ。


仄かの最初へ 仄か 4 仄か 6 仄かの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前