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仄か
【その他 官能小説】

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 バッテリーの残量を気にしつつ、そこら中に電話をかけた。

 久しぶりに聞く方言に、ついつい、口調もなめらかになる。

 女の赤ちゃんが生まれたのだと、私はみんなに自慢した。

 祝福の声が返ってきた。

 気の利いた冗談が返ってきた。

 苦難を仄めかす言葉が返ってきた。

 それぞれ違うことを言っていても、声の温度はおなじだった。

 自分の声の温度が、それだけ熱くなっていたということだろう。

 車窓の向こうに、青い空と、白い雲と、緑の山並みが過ぎていく。


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