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It's
【ラブコメ 官能小説】

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△△-5

陽向は山口から語られた事実を受け入れるのに時間がかかった。
「風間さんに言わなきゃと思って…」
「どうして…」
「優菜が五十嵐くんに抱いていた感情は本当に異常だったと思う。でも、有沙がずっと応援してくれてるって思って、諦められなかったの…。優菜は有沙のことが大好きで、それと同じくらい有沙も優菜のことが大好きだった。よく家に遊びに来たりもしてて、あたしにとって優菜も妹みたいな存在だったの」
山口はハンカチで涙を拭いながらそう言った。
「でもまだ、優菜は有沙のとこには一度も来てないの。優菜みたいな優しい子が来ないなんて考えられなかった。それに、人を傷付けてるって知って本当にショックだった…」
「……」
「五十嵐くんと行くって、そればかりなの。でも、大切な人を傷付けられた五十嵐くんがそんなことしてくれるはずもなくて…」
「……」
「だから…」
山口は陽向に真剣な目を向けた。
「五十嵐くんと、優菜と一緒に有沙のとこに行ってやってほしいの。有沙も一番の友達がずっと来てくれなくて寂しがってると思うから…」
陽向はすぐには答えられなかった。
第一、優菜が今どこで何をしているのか分からない。
この話は終わったのだと思っていた。
知らぬまま、時が過ぎるのだと思っていた。
「優菜ちゃんは…今どこにいるんですか?」
陽向の問いに山口は「実家にいると思う」と答えた。
優菜の実家は北海道だ。
でも、それ以外は知らない。
「山口さんは、優菜ちゃんと連絡とってるんですか?」
「それが…ずっと音信不通で。実家にいるって聞いたのは優菜の友達からなの」
「じゃあ、今、実家にいるかどうかは定かではないんですか?」
「うん…多分いると思うんだけど…」
山口はまた涙ぐんで言葉を失ってしまった。
「あの…。その友達の連絡先、教えてもらえませんか?」
「え…」
「優菜ちゃんを探し出して、湊と一緒に有沙ちゃんのとこに行きます」
「本当に…?」
「はい」
「…ありがとうっ」
陽向は零れそうな涙を堪えて、山口の肩を撫でた。
絶対に見つけ出す。
そうすれば、何もかも終わる。
優菜の気持ちも楽になるはずだ。
そして、湊への異常な愛も終わるはずだ。

『ごめん、今日は帰るね』
陽向は3人にメールを送り、学校を後にした。
駅まで山口と歩き、優菜の友達の花井早希の連絡先を聞いた後別れを告げた。
花井以外の2人は地方で仕事をしているらしく、一番会いやすい花井の連絡先を教えてくれたのだ。
「じゃあ、気を付けて下さい」
「本当にありがとう…。これ、あたしの連絡先。何かあったらすぐ連絡ちょうだい」
「はい」
改札を通り、山口の姿が見えなくなるまで陽向はその場に立ち尽くした。
2枚の紙切れを握り締め、陽向は家に帰った。


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