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Betula grossa〜出逢い〜
【ラブコメ 官能小説】

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Betula grossa〜出逢い〜-33

「私よね!純兄ちゃん!」
「私でしょ!葛城君!」
「当然私だよな!少年!」
笑美ちゃんも姫川さんも香澄さんも梓さんと同じように四つん這いになって迫って来た。
「誰を最初に選んでくれるの?」
4人が口を揃えて迫って来た。
「それじゃあ....」
俺がそう言いかけた時
「葛城君....こんな時間にゴメン....入るね!」
明美さんの声がして戸が開けられた。
(ヤバイ!)
そう思った時
「こんな朝早くからゴメンね....起きてくれる?」
俺の目に明美さんの姿が飛び込んできた。俺が上半身を起こして周りを見ると、4人の姿が消えていた。
「えっ?」
俺が不思議そうな顔をしていると
「ゴメンね....悪いけど起きて来てくれる?」
「ハイ....」
「居間で待っているから....」
明美さんはそう言って出て行った。
「夢だったのか....」
男としては最高のシュチエーションだっただけに惜しい気がした。もしも..起こされなかったら、俺は誰を選んでいたのだろうか....そんな事を考えながら、俺は着替えて居間に行った。
「おはようございます!」
居間に入ると昂さんが
「悪いが頼みたい事があるんだが....」
「えっ?なんですか?」
「今日も純姫様に....」
「えっ?」
「昨日の純姫様がじい様達に好評でな....今日も朝早くから頼みに来るんだよ....あっ!今日は神殿で座っているだけでいいから....」
俺はあまり気乗りしなかったが、昂さんを見ていると断る事も気の毒なので
「わかりました....」
「そうか!ありがとう!それじゃあ頼んだよ!香澄!」
「仕方ないな....」
香澄さんは俺の傍に来て
「お前も災難だな....」
そう言って笑ってから着替え終わった俺のメイクを始めた。
メイクが終わって神殿まで歩いて行く途中で今朝の行事について説明された。ただ座っているだけというのはオーバーで仕事が与えられた。仕事といっても厄払いに来た人に御札を渡す簡単なものだが....
「私がそんな事をしていいんですか?」
「もちろんだよ!そのほうがみんな喜ぶだろう!しかし..葛城君はその姿になると純姫様になりきるんだね!」
昂さんが可笑しそうに笑った。
「あっ!」
俺はいつの間にか言葉使いから変わっている事に改めて気づかされた。
「じい様達の気持ちもわかるよ!」
「えっ!?」
俺が驚いていると
「ハハハ....」
昂さんは何かを誤魔化すように笑っていた。
俺達が神殿に入ると何人ものお祓いを受ける人が集まっていた。お祓いが始まるまで何人も俺に話しかけてきた。そのほとんどが俺が男か女か確かめるためだった。俺が男だと知ると驚くとともに
「純姫様の生まれ変わりだ!」
と口にする人さえいた。俺はこの時代に伝説を信じている人がいる事に驚くとともに、それほど深く純姫様が親しまれている事に感心した。
その日一日俺は神殿の中から初詣に来てくれた人に笑顔を振り撒いていた。そんな俺を見て
「お前..アイドルみたいだったぞ!」
夜、香澄さんが俺のメイクを落としている時にからかうように言った。
正月の三が日はそんな日が続いた。俺がゆっくり出来たのは4日になってからであった。しかし雪が酷くて外には出られなかった。一日ゆっくり休めたが、6日から梓さんと香澄さんの仕事が始まるので5日に帰る事になった。
正月の三が日に神社に来たおじいさんやおばあさんからお年玉として純姫様になったお礼をもらったが、それをいただくわけにはいかないので、昂さんからもらったお年玉と一緒に、泊まった部屋の机の上に手紙を置いておいた。
俺達が住む街の駅のホームに降りた時、梓さんの携帯が鳴った。


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