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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風-3

二人は緑豊かな中庭を歩いていた。カルサがやや前を歩き、リュナは少し控えめに後に続く。優しい空気が流れる中、先に口を開いたのはリュナの方だった。

「陛下は私を覚えておいでですか?」
「ああ、もちろんだ。」

ゆっくりと振り返り優しい顔で懐かしそうに微笑む。

「まさかお前が風神だったとはな…どうりで気が合ったわけだ。」

リュナは安心したようにほほ笑み言葉を続けた。

「まだ陛下が幼かった頃、我が国に訪問されあの草原でお会いしました。」
「あそこからの景色が自慢だと国王陛下に言われてな…皆で行ったんだが、そこに婆とお前がいたんだったな。」
「あそこは風の通り道でもあります、婆様は風を読む占い師でしたからよくあそこへ。」
「滞在中はよくあそこへ行ったものだ、お前とたわいのない話をして遊んで…懐かしい。」
「陛下は随分とご立派になられました。」
「父上、母上が亡くなってから色々あったからな。いつまでも子供のままではいられないさ。」

そう言い残しカルサはリュナに背を向け先に進んでいった。リュナは黙って後ろをついていく。噴水の手前で立ち止まり、カルサは振り向かずに話し掛けた。

「二人が亡くなったとき…文をくれたか?」

少し淋しそうな声、そこには玉座にいる時のような威圧感はなかった。

「はい…お手元に届きましたか?」
「なんだか優しいぬくもりを感じた…何度となく支えられた。ありがとう。」

振り向くか向かないかの位置からカルサはお礼を言った。その声は少し弱々しくも感じられた。

「お役に立てて良かったです。ご迷惑ではなかったかと…少し心配しておりました。」

少し情けなさそうに笑ったように見えた、そんなカルサをみてリュナは言葉を続ける。

「陛下、私、風神の力を授かったことを嬉しく思います。この力で…陛下をお守りすることができる。やっとお役に立つことができます。」

リュナからの意外な言葉にカルサは驚き、思わず振り返った。そこには誇らしげに笑顔を見せる彼女の姿があった。

「風神の力は使いこなせるようになりました。戦うことも…覚悟して参りました。陛下、私をお側においてくださいませ。」
「リュナ…?」

リュナはカルサを真っすぐ見つめたまま、一歩近づく。そしてもう一度言う。

「カルサ陛下のお役に立たせてください。」
「だ…駄目だ!それはできない。」

慌てるように断り、目を逸らした。理由を問うリュナの声を背に噴水の縁に腰を下ろす。リュナはその行動を見ていた。カルサの表情にはとまどいが見える。

「まず…お前を戦わすことなどできない。」

リュナの表情が曇っていく様子が見なくても伝わってくる。リュナは反論せずに黙っていた、どうやらカルサの言い分を最後まで聞くつもりらしい。

「お前が頼りないからという訳ではない…風神の力を手に入れればそれは大きな武器になる。だが…他国にはそれが脅威になりうる。争いのもとになるかもしれない。第一、お前は女だろう?」

最後の言葉はとても優しかった。

「男は女を守る為にある、それに…お前は特別だ。お前を危険な目にはあわせたくない。」


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