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It's
【ラブコメ 官能小説】

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-2

近くのコンビニでお酒とつまみを買い、静かな夜道を歩く。
ペタペタと陽向のサンダルの音が聞こえる。
ホテルに着いたのは20時を少し過ぎた頃だった。
ロビーの隣にあるレストランでバイキングを楽しみ、部屋に戻ったのが21時。
ベッドに座ると、長旅の疲れがどっと押し寄せてきた。
「っあーーー!つっかれたー…」
「はぁー…眠い…」
2人でベッドに横になる。
足がジンジンする…。
湊がうつ伏せになると、陽向が上からのしかかってきた。
「ぁんだよー…」
「寝ちゃうの?」
「目ぇ閉じてるだけ」
「うそ」
「うそじゃねーよ……んしょ」
そのまま仰向けになり、陽向を抱き寄せる。
陽向は満足そうにすると、湊の首の後ろに腕を回した。
しばらく抱き合い、目を閉じると、開け放した窓から入り込む涼しい風と海の音に優しく包まれた。
陽向の栗色の髪を撫でる。
モンチッチみたいだった髪の毛もだいぶ伸びたなぁと思う。
「ねー、湊」
「ん?」
「涼しいね」
「外出る?せっかくだし外で酒飲もーよ」
先程のコンビニの袋を持ち、外のテラスに向かう。
大きなパラソルの下にテーブルとベンチがある。
2人で腰掛け、ビール片手に「かんぱーい」と缶を鳴らす。
「うめー!この景色見ながら飲むビールは最高だわ」
「しみるねぇー!」
「ジジ臭っ」
「いーの」
ケタケタ笑う陽向の目を見ると、少し充血していた。
「疲れてるんか?」
「へ?」
「目真っ赤」
「長旅だったしね。でも楽しいからいーの!」
陽向はそう言うと「いっぱい飲むー!」と言って他の酒も開け始めた。
「そんな飲めねーだろ」
「飲むもん」
「どーせ途中で寝るのがオチだな」
「寝ないっ!」
と、言ってから2時間後、陽向は真っ赤な顔をして湊の肩にくたりともたれかかっていた。
「おい、起きろチビ」
揺さぶっても目覚めない。
はぁ…とため息をついて湊は腕時計に目をやった。
そろそろ0時だ。
湊は陽向をベンチに寝かせ、部屋に戻ると、キャリーケースから小箱を取り出し、ついでに部屋の椅子に置いてあった陽向のパーカーを引っ掴み再び陽向のもとへ戻った。
「風邪引くっつーの…」
小声で呟いて頭を叩き、華奢な身体にパーカーをかける。
湊は地べたに座りビールを一口飲むと、気持ち良さそうに眠る陽向のほっぺたを撫でた。
時計の針が23:59を指している。
湊は小箱の蓋を開けた。
中にはシルバーの指輪が2つ。
陽向の右手をとり、細い小指にはめる。
「ん…」
感触に気付いたのか、陽向が目覚めた。
小指を見てキョトンとした後、驚いた顔で湊を見た。
「えっ……」
「誕生日おめでとう、陽向」
9月2日。
今日は陽向の誕生日だ。
旅行の日にちをこの日に計画したのもこのためだった。
優しくキスをすると、陽向はポロポロと涙を零した。
「あ…ありがと…」
「なんで泣いてんだよ」
「だってっ…こんなの……もらえると思ってなかったからっ…」
そんな涙なら大歓迎だ。
湊は微笑むと陽向の髪に手をやり、「おいで」と優しく言った。
起き上がって隣に座った陽向の身体を引き寄せる。
「俺にもして」
小箱を渡すと、陽向はもう一つの指輪を取って湊の左の小指にはめた。
「ありがと」
恥ずかしそうに微笑む陽向がどうしようもないくらい愛おしくて、自然と顔がにやける。
今度はおでこにキスをする。
「こんなに嬉しい誕生日、初めて」
陽向が口を開いたのは1分以上経ってからだった。
「今まで指輪なんてもらったことなかった」
「重かった?…ってゆーのも今更だけど」
「全然。湊がこんなことすると思わなかったから…」
「それくらいするっしょ」

だって、死ぬまで側にいてほしいと本気で思った女だから。

湊はその言葉を飲み込み、黙って陽向を抱き締めた。
陽向も抱き締め返してくれる。
「ありがと…ほんとに」
「喜んでもらえてよかった」
静かな空間に、波の音が響き渡る。
今はその音さえもうっとおしい。
何にも邪魔されず、彼女とだけの空間にいたい。

愛してるよ、陽向。
ずっと俺の側にいて。
ずっとお前の側にいさせて。

本当はそう言いたい。
でも恥ずかしくて言えない。
ただ、こうして抱き締めることしかできない。
まだまだ未熟すぎる自分には、そんなこと言う資格なんてない。
だから、自分に自信が持てるようになったら、言わせて。

涙の跡を指で拭う。
「…っくしゅ」
「ははっ。寒くなってきたし、戻るか」
「うん」
2人で立ち上がり、どちらともなく手を繋ぐ。
ベッドに寝そべり深い口づけを交わす。
柔らかい肌をもっと感じたくて、自然と激しく求めてしまう。
「ひな…」
「は…んうっ……」
ワンピースのストラップをずらし、ブラのホックに手を掛け、外す。
綺麗な白い素肌を撫でて鎖骨に唇を付けると、陽向は身体をピクンと震わせた。
「くすぐったい」
湊の髪をくしゃっと掴む。
その手に触れ、指を絡ませたと同時に再び唇を重ねる。
唇が離れた時、頬を少し赤く染めた陽向が湊に短いキスをした。
「ひなはチュー好き?」
「うん。湊のチューはあったかいから好き…」
陽向は恥ずかしそうに湊を見ると「だから、もっとして…」と言った。
恥ずかしがり屋な陽向の素直な言葉を聞き、おさまらない興奮に支配される。
静かな夜の空気の中で、互いの体温を感じる。
素肌を重ねると、陽向は自ら湊のものに触れ、優しく刺激した。
「っ…」
目を閉じ、陽向からの刺激を楽しむ。
乳首に触れ、舌で愛撫を始めると、陽向の息はどんどん上がっていった。
気持ち良さそうな可愛らしい吐息が、更に興奮を駆り立てる。


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