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夢姫伝説
【SF 官能小説】

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第2話-2

車は、本社へとたどり着いた。ミヤギは、車から降りるとオフィスルームへと足を運ぶ。オフィスルームには、人の姿が無かった。その時、書類を取りに来た男性がいて、彼はミヤギを見て「社員は、全員会議室に集まるよう会長が言ってましたよ」と、伝える。

それを聞きミヤギは、上の階にある会議室へと向う。社内は昨日の一件で騒然と慌ただしい雰囲気包まれていた。あちこちで社員達が小声で噂話しをしているのが聞こえてくる。ミヤギは周囲の人達の声に耳を傾けず会議室に入る。 

会議室に入ると、上司の1人がミヤギに向かって「遅いぞ!」と、一喝を浴びせるが、それを見ていた研究課の課長と思われる人物が立ち上がり

「イヤ、良い...彼には私が直接、頼んで外交に回って貰ったのだ」
と、言い彼を見て
「交渉の旨は、どうだったかな?」

「バッチリです。向こうは、こちらの要請があり次第、動いてくれると言っておりました」

「そうか、頼もしいな...」

話が一部始終すると、会長が周囲を見渡して「始めてくれ」と言う。

彼の言葉に従うかの様に、近くにいた男性が席を立ち、会議室の上座にある大きなスクリーンへと行くと、周囲を見渡して話を始める。

「既にお気付きかもしれないが...今日の夜中、我が社の輸送トラックが、山道を走行中に転落事故を起こした。幸い全員無事で命に別状は無いそうだ。しかし...それとは別に大きな課題が出て来た。皆が良く知っている我が社が極秘開発していたXM13J・GC2000ータイプRS。ルナ・リスファー、シリーズ0031番、通称『アリサ』が、行方不明となっていた事である。これは、かなりの非常事態だと捉えるべきであると思う」

そう話すと、彼は席へと戻って行く。

「これに付いて意見のある方は、いるかね?」

その言葉と同時に、一人の男性が手を挙げて席を立つ。

「アリサの通信情報はどうなっているのだね?位置情報さえ確認出来れば、直ぐにでも見つけ出すのも容易いであろう...」

「実は...アリサのネームが既に書き換えられています。彼女は現在、別の名前を使用している可能性があります。彼女に設定していた情報伝達信号及び、システム環境プログラミングは、全て別物に書き換えられています。その為位置情報が全く得られません」

周囲は驚きの声に溢れた。

「アンドロイドが、自ら名前やデータを変えたのか?」

「考えられない。前代未聞の事だぞ、これは...」  

周囲が騒然としている中、1人の男性が席を立つ。

「今回の件、そもそも、なぜ唐突に事件が発生したのですか?状況次第では、未然に防げ無くもない事態だった筈。アリサのデータベースは、そこまでして複雑な機能だったのでしょうか?」

「アリサに付いては、色々と議論の場になっているな。そもそも...あのアンドロイドは我々人類にとって『未来の女王』と言う思考がある。しかし...あの子は、自らそれを嫌ったのだ。あの子は、自分で自分の道を選んだのだよ。事件は必然的に起きたのだ」

「会長、この様な場でそ言う発言は、控えて下さい」

会長は目を閉じて「失敬...」と呟く。

「あのアンドロイド1体の為に、我が社が総力を上げて結集した最先端の技術が盛り込まれているのです。いわば結晶体な様なもの。もしも...これがコピー大国にでも持っていかれたら、知財を奪われるだけでは済まされない話です」

「確かに一理ありますね。アリサの持つシステムは、通常のアンドロイドの数倍の性能があります。悪い奴等に捕まり、その性能を悪用とすれば、数日で過去から現在までの世界中のネットワークの情報網を書き換えてしまう勢いはあります。これを事前に防ごうと、我々開発陣達は考えて準備を進めています」

「この辺までの話に付いて、研究課の皆さんは、どう思われますか?先程からまだ意見を述べられていませんが」

話の矛先が研究課達へと向けられる。

「我々としては、今回の騒動は、かなり重大な課題として受け止めています。その為にも早期解決を要する次第です。幸い手掛かりになりそうな物を1つ持ち合わせています」

それを聞いた周囲の人達が「おお!」と、驚きの声上げていた。

「ミヤギ君」と、課長が一言うとミヤギが「ハイ」と、返事をして席を立つ。

スクリーンの前に行き、彼は周囲を見回して話を始める。

「実は...事故が発生した場所から、少し降りた場所にハイウェイの道がありまして、その付近を警察官達に検問をして頂いてたのです。事故発生から1時間程経過した位に1台の民間車両が通過しています。検問があった場所から数キロ進んだ辺りで、この民間車両は、何故か走行を止めて、しばらくして法定外速度で現場付近から離れて行くのが、観測されています。我々はこの民間車両の所有者にコンタクトを取る事を考えています」

「なるほど...」
周囲の人達は頷いた。

「では、我々研究課の人達は今日、二手に分かれてアリサの捜索をします。ミヤギ君には、その人物とのコンタクトをお願いし、残りの人達は、もう一度現場付近を捜索。あと...状況次第で、皆さんにも協力を要請しますので、その予定でお願いします」

研究課の人達は、そう言って会議室から出て行く。

会議室から出て来たミヤギは、通信室へと向かう。通信を行っている女性へと近付くと軽く挨拶をする。

「こんにちは。ルカちゃん、元気そうだね」

「あら...ミヤギさん、こんにちは。今仕事中なので、あまり話しかけないで下さい」

女性は、若くて奇麗な20代前半と思われる感じの人だった。明るくて陽気な雰囲気のあるルカは、本社では人気のある女性でもあった。


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