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『女神様伝説』
【SM 官能小説】

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第3章-2

「君、教会に入り浸りだね」
 と他の信徒に言われたこともあるくらい、熱心に教会に通っていたのだ。
 しかし、これは当然のことながら、アニメのファンタジーと実際の教会とはかなり異なっていた。私はファンタジーへの没頭を信仰と勘違いしていたのだ。
そこへ神父との人間関係もうまくいかなくなってきた。それやこれやで、5月の中頃に私はカトリック教会を去った。あれほど熱心に通っていた者が、二ヶ月足らずで急にやめたものだから、
「誰かに何か言われたんじゃないかな」
 などと神父は言って首を傾げていたそうである。この時、他の信徒が日本聖公会の横浜山手聖公会を教えてくれたのであった。
「あそこの司祭は、ここの神父様とはだいぶ違うから、一度行ってみたら」と。
 聖公会なら教義も典礼もカトリックとそれほど変わらないそうだ。
 山手カトリック教会を去った後、キリスト教に反感を持ってどこの教会にも通っていなかったのだが、リサに全国SMグランプリに出てほしいと言われて急にそのことを思い出し、ほとんど条件反射のように私は山手聖公会を目指した次第だった。
「あのう、ここの教会に通いたいのですが」
 私は初対面の山手聖公会の入江修司祭に言った。
「ごめんなさい。あなたの話をゆっくり聞きたいんだけど、今日は子供を『E.T』の映画を見に連れて行く約束があってね。明日、もう一度来てくれませんか」
「わかりました」
 多少素っ気なくも感じたが、いきなり行ったのだからこれも仕方あるまい。
私は翌日もう一度出直して、自分が横浜女学院高校の生徒であること、キリスト教に興味を持っていること、しばらく山手カトリック教会に通ったが神父と合わなくてやめたこと、などを話した。SMショーパブで働いていることや、全国SMグランプリのことなどは一切伏せておいた。
ところで私はカトリック教会をやめた際、キリスト教への反感を込めて、自宅の自分の部屋のベランダに聖書を雨晒しにしていた。ただ風雨に晒すだけでなく、料理の後の油をかけたりとかもしていた。
そんなことを5月から半年以上も続けているうちに、その聖書はもうぼろぼろになってしまっていた。
キリスト教に戻った私は、その聖書を再び部屋の中に入れ、丁寧に紙で包んで本棚の上に置いた。
「いつかこの聖書をどこかに埋葬しよう」
 と反省と哀悼の意を込めて考えながら。まさかこの聖書の処理が、M女奴隷としての私の人生を大きく変える出来事になるとは、この時点では夢にも思わずに。
そして19日の日曜日の主日ミサから私は山手聖公会に通い始めた。クリスマスが近いということで、たくさんの信徒や求道者が来ていた。そんな中、私は横浜市立大学の森山と松岡という二人の男子学生と知り合いになった。
 翌20日の夜、私はリサから言われた。
「全国SMグランプリの前日の24日の夜、ちょっと打ち合わせをしたいんだけど、あんた、ティックリラに来れる?」
「申し訳ありません。24日は教会でクリスマスの礼拝に出たいもので」
「あら、あんた、キリスト教だったの?」
「いえ、そういうわけではないんですけど、最近また教会に通い始めたんです」
「ふうん。それなら仕方ないわね。どうしよう。ぶっつけ本番でやるか。あんたが初めてここへ来た日のように」
「はい」
 あの時の悦楽を思い出して、私は喜んで答えた。
「じゃ、25日の朝9時に東横線の横浜駅で待つ合わせよう。谷本さんやみんなもその時間に来るから、お前も遅れないようにね」
「はい、わかりました」
 チーフマネージャーの谷本をはじめ、他の子たちも、客席で応援に来ることになっていたのである。
 私は一礼してリサのもとを去った。


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