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夏のざわめき
【OL/お姉さん 官能小説】

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夏のざわめき-2

へんな事というのはもちろんセックスの事だろうけど、子供の目に見えてやはりへんな事だった。

隣のおじさんという人はなんでも、私たちと一緒に暮らしてたお婆さんの身内というから、やはりこれも親戚なんだろうと思う。
物心ついた時から私はそこで育っているから、逆にそのあたりも未だよく分かってはいないのだ。
ただ今もそうなんだろうけど、こうした田舎の集落というのは何世帯かの家が集まってそれぞれの身内ばかりで構成されている。

仮に実のお兄さんの子供を産んでしまうとさすがにヤバいけど、ご近所同士で嫁取り合戦をするとなれば、つまりは気がついたらみんな親戚になってしまっているのだ。
だから母が…あるいは本当のお兄さんの子供を産んだとしても私はごく普通に育てられたのかも知れない。
これはあくまで大人になって都会で暮らす私の見解なのだけど…


へんな事というのは例えば私がある日学校から戻った時、母が隣のおじさんの顔の上にしゃがみ込んでなにか嬉しそうだったのだ。

「ちょっと…行ってなさい。」

私の目を見て母がそう言ったのを覚えている。

「行ってなさい。」と漠然と言われて私はどうしたら良いのだろうか?
とりあえず、すぐ近くを流れる小川の踏み板に座り込んで清らかな水に踊る水草を眺めていた。

母はおじさんと何をしていたのだろう?と戸板の上にしゃがみ直して同じようなポーズをとってみたものだが、例えば裸で乱れ合ってるならそれとなく事情が分かるものをあれでは隣のおじさんがわざわざ母のお尻の匂いを嗅いでいるようにしか思えなかった。

それからおじさんはよく夜這いにも来ていた。

テレビの時代劇みたいな囲炉裏端こそはなかったけど、田舎の間取りというのはほとんど仕切りがないものだった。

母は先に奥へ私を寝かしつける。
そこには襖や障子がなくても死角になるのだ。

うつらに目を覚ませば、おじさんと絡み合う母の媚声がかすかに漏れていた。
不思議な事に慣れてしまえばこれも何とも感じない。
むしろ暗がりの中にひとり眠る私はおじさんと母の漏れだす声に見守られているような安心感にも聴こえた。

こっそり起き出して覗いてみた事ももちろんあった。
玄関を照らす裸電球のほの暗い黄ばんだ灯りに照らされて、裸で向き合っておじさんの膝に抱きつく母の背中が見えたのを覚えている。

夏休みなどはよく家に閉じ籠っていた。
そうすると、私を追い払うために母なりおじさんなりがお小遣いをくれるからだ。

中学に上がると私は本当によく勉強した。
父親のいない私は人一倍勉強して、偉くならなければならないという気が誰に言われてともなくあったのだ。
高校だって近くではなく、遠いところまで三年間通った。

そして東京の大学に入る。

信じてもらえないかも知れないけど、私はそんな環境の中でオナニーすら知らずに育ったのだ。
セックスは環境の一環であると同時に子供とは無関係なものだったのかも知れない。

そんな私が東京の大学に行って、男に狂ったのも無理もない話だろうと弁解しておきたい。


何にしても、新しい生命をおなかに宿して私はこの場所に戻ってきたのだ。


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