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アンバランス×トリップ
【ファンタジー 官能小説】

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アンバランスな愛-6

「なんの覚悟だよ……」

「だから、色々と……ね」

 そう言って苦笑するキャラは、困った顔だがどこか嬉しそうだ。

(なんだ……幸せそうだな)

 ゼインは頭を抱えた姿勢のままキャラを覗き見て笑う。
 自分にとって特別な女が幸せなのは良い事だ。
 特別……と考えて、ゼインは他の特別な女を思い出した。

「ポロと……カリーは?」

 他にもスランとかケイとかエンとか……仲間達はどうしているのか、とゼインは聞く。

「ポロにも色々あってさ。自分で話したいって言ってたから後で呼んでくる」

 あの日から5日たった今、ケイは日常に戻って漁に出ており、スランはいつの間にか姿を眩ました。
 エンはファン国王にこっぴどく叱られて減俸をくらったそうだ。

「んで、カリーは……無茶苦茶怒ってる」

 キャラの言葉にゼインはビキッと固まる。

「城の中には居るみたいだけどな……ま、そっちも覚悟しといて」

 耳と尻尾の毛をビシッと逆立て、ダラダラと冷や汗を流すゼインを見てキャラはため息混じりに苦笑した。

「巻き込みたくなかった気持ちは分かるけどさ……お前がやった事はカリーが一番傷つく事だぜ?」

 黙って置いて行かれた事は、お前は関係無いと……必要無いと言われているのと同じだ。

「長〜い片想いがやぁっと叶った途端だもんなぁ〜…どうせ回復するんだし、手足の2本ぐらい無くなるかもな?」

「……面白がってるだろ?」

 ゼインは青い顔でキャラを睨む。

「本当の事だよ。全く……男って馬鹿だよな」

 キャラはそう言い放って部屋を後にした。


「ゼインの馬鹿」

 暫くして見舞いに来たポロに、開口一番怒られるゼイン。

「間抜け、チビ、犬、変態、クズ」

 ポロの口から出る控え目な悪口に、ゼインは苦笑してしまう。

「……ごめん」

 耳をぺたんと伏せて謝るゼインを、ポロは涙が滲むアイスブルーの目で睨んでいた。

「……ケイさんがアース導師や姫様やエン導師を連れて来てくれなかったら……助からなかったんだから」

「……うん……ごめん」

「私達だけじゃ……何も出来なかったんだから……」

 ゼインが居なくなって、急いで追いかけたけど……間に合ったとしても、ポロ達だけではきっと何も出来なかった……それが悔しい。


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