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ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

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第二話-1

琴梨さんから報告を受けた翌日の昼休み、俺は一条楓のクラスへとやってきた。
紅葉が調べてくれたので顔は見ればわかる。美人と自称していたが、個人的に可愛いという印象を受けた。
「おっ、噂の探偵くんじゃない?」
廊下から教室の中を覗いていると、一人の女子生徒が声をかけてきた。
「一条楓っている?」
「一条さん?ここ何日か休んでるんだよね〜。もしかして事情聴取ってやつ?」
「そんなんじゃないけど……風邪?」
「そうみたい。もう二週間近く休んでるんじゃないかな?」
そんなに長い間休んでいるとなると、大きな病気にでもかかっているんじゃなかろうな。
「ありがと」
俺はお礼を言って立ち去った。
仕方ない。一条楓が回復するまで待つか。さすがに家にまで行くのは迷惑だしな。
「ねぇ探偵く〜ん!待って待って〜!」
「?」
呼ばれて振り返ると、先ほど話をした女生徒が俺のことを追いかけてきていた。
「どうかした?」
「付属の子の、原因不明の失明を治したっていうのは本当なのかな?」
付属の子、原因不明の失明……ああ、琴梨さんのことか。
「そうだけど」
「私も治してほしいものがあるの!」
だから俺は探偵であって、医者ではないってのに。
「見てほしいものがあるんだよね。だから部室に案内してよ〜」
「……はぁ。わかった」
一条楓のことを教えてくれたし、そのお礼代わりに話を聞くぐらいはしてやるか……。


   ***


女生徒と共に部室に入る。珍しく紅葉の姿はなかった。
「で、見てほしいものって?」
ソファに座り、女生徒(そういえばまだ名前を聞いてない)にもソファに座るよう促すが、女生徒は突っ立ったまま座ろうとはしない。
「に、2年5組!日向(ひむかい)ひなた!」
突然叫ぶように自己紹介をされた。
「あ、ああ。俺は」
「ぬ、脱ぎます!」
「えっ」
俺の名乗りを遮り、日向さんは制服の裾を両手でぎゅっと掴みながらそう宣言した。
「ぬ、脱ぐって何を!?もしかして痴女!?」
「そ、そんなわけないでしょ!見てほしいものがあるっていったじゃないの!」


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