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ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

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第一話-10

三日前に先輩の心の内を知った琴梨さんは、自分の気持ちも先輩に打ち明けたのだと言う。
琴梨さんがシスコンである先輩を避けていたのは、嫌いだったり鬱陶しかったりしたからではなく、琴梨さんが『もう中学生だから、いつまでもお姉ちゃんに甘えているわけにはいかない』と思ったが故の言動だったのだと言う。
そのことを先輩に伝え、さらに「私も、お姉ちゃんに負けないくらいのシスコンなの」という旨を伝えた翌日、不思議なことに琴梨さんの視力は元に戻っていたんだそうな。
琴梨さんはそのことを報告し、もう一度お礼を言って退室した。
「…………」
俺は頭を抱えた。
「……紅葉、どう思う?」
「……琴梨先輩の想いが強すぎて、それが在花ちゃんに反映されたのかも……」
たしかに人の『想いの力』ってのは強力だと聞く。生き霊、想像妊娠なんかがいい例だ。
しかし他の人間の視力を失わせるってのは、どうも想いの力ってのとは違う気がするんだよな。
例えば第三者、それこそ俺が推理した超能力者や魔法使いによるものなのではないか、なんて思えてくる。
「わからんことばかりだ……」
結局パソコン室からメールを送ってきた人物も、その人物が言っていた(書いていたというべきか)『神様』っていうのも誰だかわからないままなんだよな。
或いはその『神様』が超能力者、あるいは魔法使いだとでも言うのだろうか?
「……もうこうなりゃ、一条楓に話を聞いてみるしかないな」
「……うん」



第一話〜視力を失った少女〜
【終】


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