投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜の最初へ ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜 6 ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜 8 ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜の最後へ

第一話-7

なんとも曖昧な答えだな。そんなんで納得できるかっての。
「犯人が赤の他人だと仮定して、お前ならどんな理由で視力を奪う?」
「うーん……」
視力を奪いたいなんて、当然ながら思ったことがないから想像するしかない。
「相手のことを相当嫌っていたり、暴力的な考えを持っていて誰でもいいから奪いたい……とか?」
「そうか。ならまず前者だなぁ。琴梨在花が失明したのは、たしか一ヶ月前だったな?」
「はい。一ヶ月とちょっと前です」
「でだ。前者の場合、琴梨在花を嫌ってる奴がいるってことになるわけだよな?」
「そうですね」
須藤は先ほどと同じお菓子の二本目を口にくわえ、またもタバコを吸っているような仕草をする。
「そいつ、視力を奪っただけで満足できたんだろうなぁ?」
「だけって……視力を奪うぐらいなんだから、かなり嫌ってるに決まってるじゃないですか」
「じゃあよ、なんでここ一ヶ月は何もしてこないんだ?」
「あっ……」
言われて気付く。視力を奪うぐらい琴梨さんのことを嫌っていた、あるいは憎んでいた場合、視力を奪っただけで満足しているとは考えにくい。だというのに犯人は、およそ一ヶ月もの間、琴梨さんには何も手出しをしていない。
「つまり犯人は、琴梨在花を嫌っている人物ではないってことになるよなぁ?」
「後者はどうですか!?」
「暴力的、つまり危ない考えを持った人物だった場合なぁ……これはねぇよ」
「なぜ?」
「そんなやつが超常的な力を使えたんなら、今頃この学園は大変なことになってるだろぉよ」
「あっ……」
またしても言われて気付く。超能力かなにかで視力を奪えるなら、琴梨さん以外にも視力を奪われた人物が多発していてもおかしくない。だが今のところ、そのような話は聞いていない。
「紅葉」
俺よりも学園内の事情に詳しい紅葉に話を振る。
「……ない」
PCモニターから目線を外さないまま、紅葉は一言でそう答えた。
「……ついでに。学園の裏サイトを見てみたけど、在花ちゃんの悪口を言っている人はいなかった……」
俺の考えついた2つの可能性は、完全に的を外れていたってことになる。


ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜の最初へ ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜 6 ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜 8 ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前