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ナクシモノ〜シスター&ブラザーコンプレックス〜
【学園物 恋愛小説】

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第一話-6

自分は決して悪くない、と言いたいらしい。
「……それに。悪用してるわけじゃなく、学園のためにやってることだから……と、自分に言い聞かせている……」
罪の意識はあるわけか。まぁ学園側に迷惑かけているわけでもないし、問題はないよな。
「探偵がハッキングなんてしていいのかねぇ」
「うおぉっ!?」
突然の声に驚いて視線を動かすと、いつの間にかソファに顧問の須藤が座っていた。
同好会だからまだ正式な顧問ってわけではないんだけど。
「珍しく手こずってるみたいじゃねぇか」
須藤はタバコ型のお菓子(30円ぐらいで買えるやつ)を口にくわえ、あたかもタバコを吸ってるかのように「ぷはぁ」と息を吐いた。
「依頼の内容が特殊なんでね」
「特殊だぁ?聞いてやっから、言ってみろ」
なんでこの人はこんなに偉そうなんだ。いつもこうなんだけど。
「視力を取り戻してほしい、だとさ」
「あん?そんなもん病院に行けばいいだけの話だろうがなぁ?」
ま、誰だってそんな反応をするよな。俺だってそう思ったし、だからこそ琴梨さんたちも病院で診てもらったわけだし。
俺は事情を説明し、ついでに今まで調べあげた内容を須藤に話した。関係なさそうなことも含めて。
「なるほどなぁ」
「須藤、先生はどう思います?」
「俺も琴梨在花のことは知っているが、あいつが失明の演技をしているようには見えなかったなぁ」
なんで本校の教師が付属の生徒のことを知っているんだ、とはつっこまないでおく。
「それについては俺と紅葉も同意見です。な?」
紅葉は無言で頷いた。相変わらずカチャカチャとキーボードを叩いている。
「原因は不明……。まぁあれだ。未知の病気でない限り、それは超常的な力が作用してると考えたほうがいいなぁ」
そう言い、須藤はポリポリと先ほどのお菓子を食べる。
「超常的、ですか……超能力や魔法なんかですか?」
「わかりやすく言えばな。まぁそうなると、怪しいのはいつも身近にいる人物ってことになるわけだが」
「超能力や魔法なら、別に近くにいなくても、視力を奪うことはできるんじゃないですか?」
「赤の他人が?何のために視力を奪うってんだ?」
「じゃあ逆に聞きますけど、身近の人物が奪うメリットってあるんですか?」
「そりゃお前、色々あんだろ」


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