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縄灯
【SM 官能小説】

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縄灯(前編)-4

縛られた私のからだの中から、不意に鬼の嗚咽が聞こえてきたような気がした…。

私は瞳を静かに閉じる…。

脳裏の中の幻影は、ゆらゆらと揺れる蝋燭の灯りの中で、藁人形となり柱に縛りつけられた私
自身だった。そのとき、突然光ったものは、私の中の鬼が振り上げた金槌だった。
こん、こん、こんと鋭い針釘が私の性器の割れ目に打ちつけられたとき、私の子宮が恍惚とし
た喘ぎ声を洩らし、極彩色に彩られた怨念が子宮のなかを走馬灯のようにゆらいでいった。



一ヶ月前、私は夜毎に襲ってくる暗鬱な妄想にうなされ、眠れない日々に苦しんでいた。あま
りに性的すぎる幻覚…それは私がずっと背負っていた病気だった。

突然、襲ってくる幻覚…私の性器に鋭い斧がうちこまれ、子宮の奥底から樹液を滴らせる男性
のペニスがまるで身悶えする無数の芋虫のように次々と這い出てくる幻覚。私は、精神と肉体
を同時に引き裂かれるような眩惑に喘ぎ、嘔吐を繰り返した。

子宮を鋼のような鋭い爪でえぐられるような胸苦しさと絞められる咽喉の奥から聞こえてくる
卑猥な悶え声…骨の芯をくすぐるむず痒い欲情…様々な幻覚が蜃気楼のように湧いては消え、
私のからだの中で虚ろな渦を巻き続けていた。

いつのまにか私は、何も考えることなく、何を思うことなく、まるで自分の性の中に潜む鬼の
寝息を聞き取るように耳をすまし続けていた。そして、自ら抑制できない自分の性に怯えるよ
うに花弁の奥に指を触れたとき、私はぞっとするほど凍りついた膣肉を感じたのだった。

まるで石化していくような凍てついた肉襞の中で、ふと現れたのは死神のような鬼だった。
そしてその鬼の窪んだ眼孔は、私の奥深い洞窟の中で気だるく邪気に充ちた微光を放ち、私を
憐れむような蒼薄い嘲笑を含んでいたのだった。


私は、その鬼を振り払うために誰かに強引に犯されたかった…。

誰かに荒々しく性を裂かれるように犯されることで、いつ果てるともわからない肉欲の耽溺に
身をゆだね、その鬼から遠く逃れたかったのかもしれない。

犯される相手は誰でもよかった…。ただ、私の中の鬼の嘲笑を深い沼底に封じ込めるように
私のからだの隅々まで貪り、凶暴な力で私の性の奥底を尖ったナイフの先端で突き刺すように
犯してくれる相手が欲しかったのだ。


そして私はあの夜、煌びやかなネオンが光る夜の猥雑な街角にまるで娼婦のように佇み、私を
犯してくれる男を求めた。下着をつけることなく、裸身のすべてが透けて見える薄いベールの
ような衣服を纏った私の姿を、酔った男たちが横目で嘲笑いながら怪訝な顔をして通りすぎて
いった。

「私を買ってくれないかしら…」

とっさに吐いた私の言葉に振り向いた坊主頭の太った中年の男は、突き出した下腹をゆすり、
痘痕面の頬肉を弛ませながら紫色の厚い下唇を舌で淫猥になぞった。そして私の足先から首筋
まで舐めるように膿んだ視線を這わせた。


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