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縄灯
【SM 官能小説】

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縄灯(前編)-2

…きめ細やかで深みを湛えた肌肉をした端正な裸身は、縄で縛られることを今にも求めて喘ぎ
始めるくらいとろみを漂わせ、鎖骨の下の浅い窪みからなだらかな線で描かれる乳房は、縛る
にはほどよい柔らかさと膨らみがありましたね…

…乳肉の谷間の仄暗い淡さ、腰の括れや腹部の翳り…それに、陽炎のように淡く生えあがった
陰毛の妖艶さも、身震いするような疼きをあたしに与えてくれたものでしたよ…

それでね…ここだけの話ですが、「谷 舞子」って女はあたしが処女を奪った女なんですよ…
誰にも言ってませんがね…あたしもあの頃は若かった…彼女の処女のまんこって、そりゃいい
気分でしたよ…あたしのものを咥えた薄桃色の肉襞を波立つように震わせ、あそこの奥に初々
しい血潮を泡だたせると、溢れたものが真っ白い陶器のような太腿の内側へと流れていったも
のですよ…ヒッヒッ…



息苦しい夢から目を覚ましたとき、病院の窓の外には漆黒の沈黙が広がり、庭園の樹木はひっ
そりとした闇に包まれ、遠くに煌めく街の灯りが深い静寂の中に澱んだように漂っていた。

私は二週間ほど前から、以前に入院していたことがあるK…精神病院の三号棟にふたたび入院
をしていた。都心から少し離れた丘陵地帯に建つ古い病院のまわりだけが、こんもりとした
樹木に包まれ、なだらかな斜面には真新しい家がびっしりと張りついていた。

夢の中に現れたのは、確かにあの男だった…。

夢から覚めた私の肌に、まるで性器から滲み出た蜜液のような汗が滲んでいる。性器の奥底か
ら渡り吹いてきた風の音は、鋭い刃物を磨ぐような音をたて、確かにあの男の薄蒼い嘲笑を
孕んでいたような気がする。


私は、何も知らなかった…そして、おそらくあの男も…。ただ、死んだ母だけがそのことを
知っていたのだ…。


夢の中で、夜空を燦爛と血色に染める炎があの屋敷を包み、火の粉が天空へ踊り舞い上がって
いた。縛られた母を犯すあの男のペニスが、炎の熱でなめされた蛇皮のように柔らかく溶け、
縄で縛られた母の裸身が海老のようにのたうち、まるで金粉をまぶしたように美しく輝きなが
らめらめらと焦げていく…。

そのとき私の子宮のどこかで、鈍色の鱗が艶めかしく逆立つように鬼が笑った気がした…。
そしてどろりと濁った底知れぬ沼のような薄蒼い鬼の瞳の中に、私は狂い悶えながらどこまで
も深く堕ちていったのだった…。


男の名前は、木島重蔵…


病院の窓ガラスに淡い灯りが漂い、私の姿態がぼんやりと浮かび上がる。
汗で湿り、肌に纏わりつく下着を私は脱ぎ捨て、生まれたままの裸身を窓ガラスの前に晒して
みる。

淡い光の中で霞んだような生白い肌は熟しきり、すでに褪せかけた色合いを見せているが、
その肌の色とは対照的に、ふっさりとした陰毛の淡い翳りは、封じられた欲情に喘ぎながらも
さらに濃さを増し、艶めく性器の中を炙られる肉の悦楽を欲しがっていた。



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