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妄想秘密部屋
【フェチ/マニア 官能小説】

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序章・二人だけの秘密部屋  第2章・山小屋のコテージ 第3章・透明な壁 最終章・快楽の果て-1

序章   二人だけの秘密部屋

3歳年下で27歳の果歩とは、ネットのSNSで知り合った。いわゆる出会い系サイトと言えばそうかも知れない。
僕の名は名賀亮、遠距離恋愛中の恋人もいるし、特に出会いやセックスフレンドを求めている訳ではなかった。
突然果歩からメールがあったのは3カ月前だった。

《あなたの存在自体がストレスになる》と告げられそれっきりになった。
僕は 昨年から趣味でネットの投稿サイトで官能小説のようなものを書いている。
ある日、僕の作品が果歩の目に留まったのだ。
それは真面目な青年がネットカフェに通い、AVを観ながら自慰に耽けるシーンを描いた作品だった。それがすごく気に入ったと言ってくれた。

僕は元々本が好きで、いつか小説を書いてみたいという願望があったが、マニアックな出版会社で仕事をしていることで創作意欲がさらに膨れたのかも知れない。
公園での野外プレイや、女性オナニストの性生活を書いたりした。また人気アナウンサーの乱交シーンなどを描写した短編小説を投稿したことがある。
体裁や文体に捉われず、自分がまず体験できないような官能世界や潜在的なエロチシズムを自由奔放に描いていた。
果歩は僕のそう言った官能小説に必ずコメントを残してくれた。

ある時、調子に乗った僕は彼女にネット上に二人だけの秘密部屋を作らないかと誘った。
エッチなチャットをしたり、お互いの性癖や体験談を告白しあったり、お互いが描く妄想世界を作ったりしていた。 まさに果歩と僕だけの官能の世界だった。
僕は「妄想秘密部屋」と名を付け、暗証番号を設定し、その部屋の扉は二人だけしか出入りできないようにした。
僕はその部屋の合鍵を彼女に渡したのだ。そこはこの世でたった二人しか知らない特別なネットの妄想秘密部屋。

別れを告げられたメールの後、果歩からその部屋の合鍵は返してもらい今は僕の手元にある。
今頃その部屋は埃をかぶったままだろう。
夏の終わりに、 僕は少し鍵を開けて覗いてみようと思った。たまには空気を入れ換え、掃除もしなといけない。





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