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ROW and ROW
【その他 官能小説】

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ROW and ROW-6

 なぜあんな愚かなことをしてしまったのだろう。甘えたかったなんて言いながら、いきり立った股間を見れば誰が信じるものか。下心の証しだと言われれば何も言えない。こうなった以上もうここへは来ないだろう。電話も来ないかもしれない。
(誰かに話すだろうか…)
弱った。……何度謝っても言い訳の繰り返しに取られるだろう。……


 落ち込んで暗澹とした心に灯りが燈った。注文しておいた『智子』が届いたのである。今日か明日かと待ち望んでいたのに理絵子の一件で忘れていた。
 ずしりと重い段ボールの箱は畳一畳ほどもある。
梱包を解くと、クッションやら包装が幾重にも施されてあって、本体に行きつくまで言い知れぬ昂奮に包まれた。そして、
(これは…)
透けるほどの白い肌の裸体が現れて島岡の手が止まった。
(何という美しさだ…)
箱から抱きあげる。子供くらいの重量だが、確かな手ごたえが伝わってくる。そのままベッドまで抱えて寝かせた。
 質感、体形、色具合。表情…。人形のイメージを超えている。島岡は眺めているうちに勃起していた。シリコンゴムの柔らかくしっとりした肌触り、特に豊満な乳房はそっと摘まむと指が沈み、適度な弾力をもってはね返してくる。頬のかすかな赤みは今にも微笑みを浮かべそうな生気を感じさせた。
(抱きたい…智子を抱きたい…)
本気でそう思った。

 付属の陰毛はシールになっていて、貼り付けると下半身の様相が一段と生々しく見える。
 智子の陰部が甦ってきた。
(あいつはもっと濃かったな…)
 股を覗くとそこにはキャップがあって、取り外すと陰茎よりやや大きい穴があいている。そこに筒状の『秘部』を差し込む仕組みになっている。
 割れ目が出来上がり、不自然さは否めないが、折り重なって結合が出来るのである。指を入れてみる。内部は膣を模した微妙な凹凸まである。ローションを塗って挿入するのだ。
 島岡は身動きしない『智子』を眺め、そっと各部位に触れては想いを巡らせた。付属されている衣類はブラジャーとパンティだけである。早速着けて、また眺め、様々な姿勢を作ってみた。手足の関節は動かせるようになっている。
 椅子に座らせてみて、下着姿はおかしいと感じた。
(智子はこんな恰好でいたことはない…)
妻の服を着せてみることにした。物持ちがよかったのでかなり昔の服もとってある。なるべく若い雰囲気のブラウスとスカートを着せて座らせた。
「ほう…」
思わず声を洩らした。
(智子だ…智子になった…)
近寄って口づけした。ひんやりしているが気分は高鳴る。胸をそっと突っつく。
『もう、あなたって…』
智子ならそう言っていたずらっぽく睨みつけるだろう。言葉は返ってこないが彼には妻が何と言うかわかる。
 二人で生活した年月には数々の思い出がある。そして折々に見せた彼女の仕草や表情、言葉が焼きついている。それらを思い出して組み合わせると新しい『智子』と新生活を始めるような期待感が湧き起こってきた。

 その日から、島岡はいろいろな場面、状況を想定して愉しんだ。
買い物に出掛ける時はあらかじめ『智子』をキッチンに立たせてから家を出る。帰ってくると玄関から彼女の立ち姿が見えるのだ。
「ただいま」
『おかえりなさい』
荷物を置くと後ろから手を回してオッパイとおなかを触る。そして項にキス。
『くすぐったいわ』
「智子…」
手は下腹部へと伸びていく。
『だめよ、包丁を使っているから危ないわ』
燃えあがる想いをおさえて尻を撫でてからリビングに行って後ろ姿を鑑賞した。
 ふと初めて結ばれた日の感動が鮮明に脳裏に甦ってきた。彼の誘いに恥らいながら、その目にはすべてを捧げる決意が溢れていた。
 初詣にでかけた日、島岡は結婚を申し込むつもりでいた。智子にもその予感はあったと思う。近くの神社ではなく、バスで一時間もかかる和倉温泉に向かったことで気持ちは固まっていただろう。
 人が行き交う道を歩きながら結婚を囁いた。
「ほんとにあたしで、いいの?」
「君がほしいんだ」
うなずいた智子の肩を抱いて予約しておいた旅館に向かう間、会話はなかった。
「旅館、予約してあるんだ…」
その一言で伏せ目になって彼に導かれるようについてきた。
 当時、島岡の経験はまだ浅く、余裕はなかった。だがそれだからこそ結ばれた感激は大きかったともいえる。
 ともすれば無意識に防御の体勢をみせる智子の泉に何とか差しいれた時、二人は互いの頼るべき相手として確信して抱き合った。一筋流れた智子の涙は痛みに耐えるものだったのか、愛の歓びだったのか。
 間もなく切迫して、彼は全身を軋ませて放った。
「智子!」
「あ…」
歯を食いしばっていた智子が唯一発した声である。結婚後だいぶ経ってから、智子はその時のことを思い出して、温かな精液が中で当たったのが分かったのだと恥ずかしそうに言ったことがある。


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