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霊妙
【その他 官能小説】

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霊妙-1

 不惑を迎えた昨年、篠原誠は会社の定期検診で血糖値が高いと指摘された。数年前から肥満気味だとは自分でも感じていたところだった。体調はすこぶるよかったが、このままでは糖尿病になるおそれがある、と所見欄に書かれてあった。

 考えてみれば不規則な生活であった。朝は妻に起こされて朝食も食べずに飛び出して、駅で缶コーヒーを飲み、昼になってようやく食欲が出てきてつい脂っこいものに目がいってしまう。夜は週に3、4回は同僚と酒を飲んだ。帰宅はいつも夜中で、そのまま寝ればいいものを何か食べたくなってお茶漬けをかき込んでから寝るのである。健康にいいはずはない。
「生活習慣病よ」
検診の結果を見せると、妻の雅子はそれみたことかという眼差しを向けて言った。
「朝はちゃんと食べて」「深夜の食事はよくないわ」「お酒は少し控えて」
常々言われていたことだ。
 アドバイス欄には規則正しい生活とバランスのとれた食事、そして運動と記されてあった。

「よし、運動しよう」
内心、付き合いもあり酒はすぐには減らせないと、まだ危機感はなかった。
「運動って、何するの?」
「歩く」
「ウォーキング…流行りよね」
「いや、ハイキング」
「ハイキング?」
「雅子と二人でハイキング」
「すぐ飛躍するんだから」
「本当さ。決めた。実行する」
失笑しかけた雅子が真顔になったのは篠原が手を握ってきたからだった。熱い目を向けると雅子は時計に目をやった。7時過ぎたばかりである。久しぶりの早い帰宅に彼は疼いた。雅子の目元に差した微かな赤みを見る限り、彼女も同じ気持ちだと察した。
 半月はご無沙汰である。高校生の2人の息子は部活でいつも9時過ぎになる。
篠原は乳房に手を伸ばして乳首のあたりをつついた。
「だめよ…」
言いながらまた時計を見た。
「時間、大丈夫だろう?」
「ご飯は?」
「あとでいい…」
「念のため鍵締めてくる」
雅子はすでに息を弾ませながら玄関に急いだ。

 夫婦の寝室は独立していたが、3LDKの間取りでは子供が大きくなると気になって没入することは出来なかった。子供も思春期である。声を噛み殺しての性急な営みではやはり満たされないものが残る。
 時間があるとはいえ気持ちは慌ただしい。下半身を脱ぎ捨てて風呂場に行くと、やはり服は着たまま尻を丸出しにした雅子が入ってきた。シャワーを当て、石鹸をつけて互いを洗う。いつからか習慣になっていた。
「あ、ああ…」
すでにぬめりに満ちている。溝をなぞって洗い流し、今度は篠原が雅子の手に包まれて屹立した。
「糖尿なんていやよ」
雅子は陰茎を強めに扱き、袋を握った。


 床は座布団三枚を敷いて枕だけを置いた簡単なものである。雅子はブラウスのボタンを外し、ブラジャーを着けたままたくしあげて乳房を露にした。篠原はタンスからコンドームを取り出して枕元に準備した。
 仰向けになった雅子は目を閉じて待ち受ける。胸はせわしなく上下していた。
 両乳房を押し上げるように揉むと雅子は鼻を鳴らした。柔らかさよりも弾力がある。
(もう、張ってる…)
篠原は顔を埋め、乳首を含んだ。
「いいっ…」
顎が上がり、喉の血管が浮き出て白い肌が桜色に染まっていく。昂奮が掻き立てられて貪るように舐め回した。
「ああっ、感じちゃう…」
うねり、逃げる体をがっしりと組み伏せて乳首を咥えたまま顔を振る。汗の混じった肌の匂いと乳房の感触が堪らない。
 官能の流れに乗ったのか、雅子は手を伸ばして亀頭をつまんで自らに挿れようと股間に擦りつけてくる。跨った篠原が押さえつけた形なので亀裂の上部を掠めるだけで挿入はならない。が、雅子の昂ぶりは次第に激しくなっていく。
(ちょうど陰核に触れるのだ…)
彼自身も愛液に塗れて摩擦を受けている。しかも半月禁欲の後の裏筋だからその刺激は強烈だ。さらに雅子の手は割れ目に押し込もうと先端ばかりを触ってくる。危うく洩らしそうになって腰を上げて蜜壺の淵から逃れた。

 かなり切迫している。妻の膝を曲げて開脚させると、
「うわぁ…」
まだ触れてもいないのに雅子はのけ反った。
 陰口はおろか繁みまでべっとりと濡れ、泡立っている。篠原は溢れ出る泉に吸いついた。
「ひい!」
引き攣ったような声を上げた雅子は股間に嵌った彼の頭を両手で抱え、脚を絡めて腰を迫り上げた。
「感じるぅ!」
口先を埋め込み、舌先は暴れまくった。
「いっちゃう!いっちゃうから!」
素早くゴムを装着して秘口にあてる。
「きて、はやく」
言われるまでもなく重なると一気に埋めた。
「ううむ…」
肉襞に包まれて篠原は歯を食いしばった。チリチリと火花のような快感が広がって、堪える限界を超えていた。そのタイミングで雅子が脚を伸ばして突っ張った。締めつけてきたのである。篠原のためでなく、自分の絶頂が目前だった。
 のしかかり、激しく動いた。狭くなった淫道でもみくしゃにされてペニスは悲鳴をあげた。
「あなた!イク!イクの!」
「俺もイク…」
夥しい放出感が起こり、全身が硬直した。雅子も伸び上がって鳩のような声を出した。
「くう…」
 そのまましばらく重なっていた。雅子は小さな喘ぎを続けながら何度も彼に頬擦りをしてきた。


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