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クルドーム
【コメディ 官能小説】

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白衣の女-1

ワイは世間一般の基準でゆうたら『変態』なんや。
とゆってもなぁ、人は皆心の奥に『変態』を持ってるもんやけど、それを滅多に出そうとせん。
出さないから『正常』で通ってるんや。
ところがワイは……出さないように我慢はするんやけど、溜まりに溜まった後爆発するんや。
ど……どういう風に爆発するのかとゆうとやなあ……出すんや。
つ……つまりやな。ベローンチョと前を出して見せたくなるんや。
こ……これ、どうにかしてーーーぇぇぇって感じで、女の人に見せるんや。
ほなら、どうにかしてあげるわーー♪ってしてくれる訳ないんやけど。
もうどうにも止まらんのや。
あの瞬間、ワイの心臓は口から飛び出るかと思うくらい連打するんや。
きっと血圧も300くらい上がってるんじゃないかと思うくらいや。
そして女の人の悲鳴を聞いた後、どっちかが逃げ出すんやな。
その後ワイはその瞬間を思い出して鱒食べるんや。
なに? 鮭じゃ駄目かって? 意味わからんわ。

ある時、やっぱり溜まりに溜まって川原を歩いていたら、向こうから女がやって来た。
よく見てみるとやな、眼鏡をかけて白衣を着た若い女なんや。
左目の目尻の下にホクロのある、ショートヘアの女やった。
ワイは1mくらい近づいたとき、前に立ちふさがってレインコートの前を広げたんや。
そして相手が悲鳴をあげるか、逃げ出すか、その両方をやるのを待っていたんや。
だが、その若い眼鏡女は冷静に観察していた。
「勃起した時点でのサイズは13cmほど。まあ標準サイズですね。
これだけあれば十分女性を満足させる要件が揃ってると思いますが、このように露出するということは……」
おいおい、何を言ってるんや? なにを分析してるんや? はよ逃げんかい。
「経済上の、または容姿容貌上の、はたまた性格上の理由で異性との接触が困難なサンプルだと理解できます」
理解すんな! それにワイはサンプルやない。物的に扱うんやない。
「そうですね……。
私はこういう人にこそ、この研究成果を捧げるべきだったのかもしれません。
社会に認められず、その底辺で足掻いている……不幸な男性。
私も研究を認められず、大学の研究室を追われる身……。
そうだ。この人に私の研究成果を託そう」
ちょっ……ちょい。
いくらワイが変質者だからゆうても、ワイの存在を無視して独り言言うのはやめてもらえんかいなぁ。
変質者のワイにも人格ってもんがあるんや。
あれれ、なんかバッグから取り出したやないか。
これってスキンみたいやな。何? これワイに呉れるのかいな?
こんなに沢山貰おてもなあ。使い道が……。
えっ、今みたいなことしたくなったとき装着してみてやって?
これなんていうもんや? えっ、このピンクのスキンが『クルドーム』?
で、こっちのブルーのは? 『コンドーム』? なんや普通のスキンやないか。
「でもコンドームはクルドームを使って困ったことが起きた場合だけ使ってください」
あっ、どこに行くんや。そっちは川や。
夕べ降った雨で増水してるんやから危ないんや。
えっ、何こっちを見て寂しく笑ってるんや。あっ、馬鹿! 飛び込んでしもた!
も……もったいないこと。
どうせ死ぬんならワイにさせてぇなぁ……!
そうだ。これから助けて……げげ……もう姿が見えんがな。む……無理や。
南無阿弥陀仏。あっ、もしかして法華宗だったらごめん。
でも自殺したからクリスチャンではないんやろうな。
ああ、そんなことはもうどうでもええんや。

 


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