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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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-6

「歩仁内……。お前、石澤のことが好きだったんじゃなかったのかよ」


ようやく、土橋くんが口を開いた。


「そんなこと言ったっけ?」


それに対し、白々しくすっとぼける歩仁内くん。


「言ってないけど、そんなの桃子に接する態度を見てたら誰だって好きって思うでしょ……」


沙織もまだ状況が飲み込めていないようで、戸惑いながら言った。


……まあ、状況が飲み込めていないのは私もなんだけど。


「へえ、土橋だけじゃなく中川さんにもそう思われてたんだ。おれの演技も大したもんだね」


歩仁内くんは、ニヤニヤしながら私達の顔を見回した。


「……演技」


私はズキッと胸が痛くなった。


歩仁内くんの笑顔も、優しさも、全て作られたものだと知ると、まるで陰でバカにされていたような気持ちになった。


「……ちょっと、歩仁内くん。言い方悪いわよ」


江里子が小声で彼をたしなめる。


そして、俯く私に向かって、


「ごめんね、桃子。演技って言い方が悪かったよね。

確かに桃子のことが好きみたいな態度とって混乱させたかもしれないけど、歩仁内くんは、ずっと桃子と土橋くんをくっつけるつもりであんな態度とってたの」


と、申し訳なさそうに顔を覗き込んできた。


そして、すかさず歩仁内くんはうんうんと頷きながら、江里子の言葉を補足するように話し始めた。


「桃子ちゃんと土橋が口を聞かなくなった事情知ってさ、なんとかしてやりたいなあって思ったんだ。 で、桃子ちゃんはタイミングよくおれのことを好きだって土橋に嘘ついてたらしいから、これを利用してみようかなって思いついたわけ。

“桃子ちゃんがおれのこと好きって言っただけで、ブチ切れちゃう”土橋の気持ちを知るために、とりあえず試しに仲良くしてる所を見せつけてみようと思ったんだ」


歩仁内くんは含み笑いをしながら、チラチラ土橋くんの方を見ていた。


一方土橋くんは、眉間に縦じわを寄せて、今にも因縁をつけそうな怖い顔を歩仁内くんに向けている。


私はそんな二人をハラハラ見守りながらも、以前歩仁内くんが私の手を引いて、土橋くんの目の前を走り抜けたときのことを思い浮かべていた。



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