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レディー・キラー
【二次創作 官能小説】

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本文-8

 私たちが到着して間を置かずに實松クンを乗せたタクシーが到着し、カメラマンへの顔見せを兼ねたテストショットは滞りなく終了した。食事しながらのMTGによれば、衣装は有りモノに手を加える形でカメラマンさんと付き合いの深いスタイリストが手配するとのこと。
「期間も予算も限られてますからね」
 帰りの車のハンドルを握って、實松クンが言う。助手席にはまゆちゃん、後部座席に私と芽衣子ちゃん。芽衣子ちゃんは朝からはしゃぎすぎたのか、私に寄りかかるようにして寝息を立て始めている。
「でも、出来る限り皆の魅力を引き出せるように調整しますから…」
 實松クンの言葉は最後まで聞き取れなかった。知らずに疲れが溜まっていたのか、芽衣子ちゃんの眠気に誘われたのか、私も眠りに落ちてしまったのだ。

 三日後、實松クンに呼ばれて事務所へと向かった。衣装が決まったので仮合わせしてみてほしい、ですって。
「何よ、私が着替えるところが見たいの?」
 事務所に到着して、挨拶代わりにからかってみせると實松クンは何時になく真剣な顔をして言った。
「そのつもりなら、事務所に呼び出したりなんかしません」
「どうせ際どい奴なんでしょ?期待してるのが顔に書いてあるわよ、このスケベ」
「もちろん期待してますよ。礼子さんのために僕が選んだんですから」
「あら、ありがと」
 事務所の会議室を即席の更衣室にすることにして、服を脱いで衣装を取り出した。やっぱり、というか案の定ボンテージ風の衣装だ。ま、自分で言うのもなんだけど、私のイメージで選ぶと、どうしてもこうなっちゃうわよね。
「着替え終わったら教えてくださいね」
 實松クンの声がドアの向こうから響いてきた。改めて衣装を検分する。ワンピースタイプのボディスーツにレース状のスカートが付いている。見ようによってはウエディングドレス風にも見えなくもない。サテンのロンググローブがその印象を強めている。脚には縦に太目のストライプが入ったガーターストッキングとシルバーラメのピンヒール。
 それプラス、スワロフスキー付きのネックレスに、それと対になったブレスレット。これは首輪と腕輪と形容した方が良いのかもしれない。首から両手首へはそれぞれ鎖が繋がれている。
「着替え終わったわ」
 ドアに向かって声を掛ける。
「どう?」
 会議室のテーブルに脚を組んだ姿勢で座って實松クンを迎えた。恐れ多くもこの私が謁見を許してあげたのよ。早くそこに跪きなさい。
「素敵です…、礼子さん。それに、その鎖…。やっぱり付けてもらって正解だったな…」
「なによ、このチェーンはプロデューサーのアイディアだったの?」
 首元の金具に触れてみる。手を動かすたびに音がするので、ステージでは使えないんじゃないかしら。
「ええ。この間僕がその…されてる時のことを思い出して、頭に浮かんだんです。人に何かしてあげる事ってのは、裏返せばその人がされると嬉しいことって言うでしょう?それで、その…礼子さんもひょっとしてそうかなって…」
 實松クンの手がゆっくりと伸びてきて、私の首のチェーンを掴んだ。衣装を傷めてしまわないように慎重に彼自身の顔の方へ引き寄せると、私の耳元でそっと囁く。
「今度は俺が、主導権を握りますから」
 あらま、實松クン。「今度は俺が」ですって。期待しちゃっていいのかしら、プロデューサーさん。でもその前に、あの娘が付けたGPSを取り外しておかなくちゃ。 


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