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レディー・キラー
【二次創作 官能小説】

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本文-7

 ナビの指示に従って、まず並木芽衣子を拾いに行った。彼女も間中ちゃんと同じく旅行を趣味にしていて、今度一緒に国内のどこかへ出かけるらしい。
「そうなんですよお。私も、こないだのイタリアツアーの時インフルエンザでお休みしちゃってて…。でも、美土里さんからお土産と写真、いっぱいもらっちゃいましたから」
 芽衣子ちゃんが、ルームミラー越しにスマホへ保存された写真を見せてくれる。そういえば、ウチの事務所にカメラ女子って居たかしら。
「そうですねえ、旅行は思い出もですけど、写真も大事ですよね。私、お給料でもっといいカメラ買っちゃおうかな」
 朝から元気よくしゃべる芽衣子ちゃんに相づちを打ちながら車を走らせ、佐久間まゆとランデブーする。これで車内には女が3人。下から14、22、31歳。下から順にまゆちゃん、芽衣子ちゃん、そして私。つくづくウチの事務所って節操がない。おかげで、色んな個性の娘と知り合えるのが楽しいんだけど。
「この車は前にプロデューサーさんが乗ってた車ですねぇ」
 助手席でまゆちゃんがおっとりとした口調で言う。いいや、「うっとり」と形容したほうがいいかもしれない。彼女はまだ中学二年生で、實松クンに並々ならぬ憧れを抱いているのだ。まだ、夢の中で生きているようなお年頃だもの。しかも現役読モアイドル。仕方ないわよね。きっと彼女の視界だと、ハンドルを握っているのは私じゃなくて、實松クン。
「プロデューサーさんは少し遅れるそうだから、私の運転で我慢してね」
 助手席のベルトを確認してから再び車を発進させる。
「あっ、この車そろそろガソリンが無くなりますから気を付けてください」
 まゆちゃんがインパネを指さす。本当だ。Eランプが点灯するほどではないが、メーターの針は下の方を向いている。ハイブリッド車だから今すぐにガス欠になることはないと思うけど、ガソリンを入れたとき領収書の宛名ってなんて書いてもらえばいいのだろう。
 いや、それ以前になぜこの娘はそんな事まで知ってるのかしら。彼女の位置からはフューエルメーターまでは見えないはず…。
「まゆちゃん、よく気が付くねっ!」
 後部座席の芽衣子ちゃんが関心した様子でいう。少しピントのずれた感じの娘が多いのもウチの事務所の特徴だ。でも、ここはとりあえず、芽衣子ちゃんの調子に合わせておくことにしよう。
「いいお嫁さんになるわよ」
 言って、まゆちゃんに微笑んでみせる。
「本当ですかぁ。まゆ、プロデューサーさんのこと何でも知っておきたいんですよぉ…」
 まぁ、可愛いらしいこと言っちゃって。でもお生憎様、實松クンの事は私の方がよぉく知ってるわよ。余裕の笑みを作って、まゆちゃんの方にチラと視線を向ける。
「まゆちゃんって尽くす子なんだ!」
 無邪気な芽衣子ちゃん。これじゃあ、まゆちゃんとどっちが年上なのか解らない。
「それに、GPSで車の走行距離は把握してるのでぇ…」
 まゆちゃんの言葉に、表情筋が僅かに反応してしまう。GPSですって?それじゃあ、この娘、實松クンが昨晩私の家に泊まったことも知ってるのかしら…?
「GPS?まゆちゃん、それって勝手に付けてもいいの!?ねえ、礼子さん」
 後部座席から身を乗り出すようにしながら、芽衣子ちゃんが聞いてくる。ダメに決まってるじゃない、それじゃストーカーよ。でも、まゆちゃんがどこまで事情を把握しているのか解らないんじゃ、はぐらかしておくしかない。
「何か言った?前の車に集中してたから…」
 ルームミラーに映る芽衣子ちゃんに向かって微笑む。
「いえ。何でもないんです…」
 私のリアクションを見透かしていたかのように、助手席のまゆちゃんがにこぉっと微笑みを返してきた。小娘だと思って油断してたけど、なかなか侮れないわね。
 その後は芽衣子ちゃんがずっと他愛のない話を振ってきて、私とまゆちゃんが適当に相づちを打ちながらの車中行となった。本当に、芽衣子ちゃんはよくしゃべる。二人きりだとちょっとうざったく感じるかもしれないが、このときばかりはそれが有り難い。
「着いたわよ。降りるときは、周りに気を付けてね」
 車のキーをOFFにして、私に合わせて前に出していた座席を戻そうとする。
「はぁい、私も転んじゃわないように気を付けまぁす。ね、礼子さん」
 まゆちゃんがシートベルトを外しながら私に向かって不適に笑って見せた。背筋に冷たいものが流れるのを感じる。この娘、本当にどこまでを知っているのだろうか。


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