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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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報告-6

「あたし、修とヨリ戻せたときは本当に嬉しかったし、毎日が幸せだった。桃子、モールで偶然会った日のこと、覚えてる?」


私は黙って頷いた。


郁美が私に、土橋くんと絶交してと頼んだ日は絶対忘れられない。


「桃子と話してるときの修、あたしに見せたことのない顔してたの。あたしといるときの修も、優しい顔で笑ってくれるんだけど、桃子に見せる顔はとても楽しそうで、心から笑ってるように見えた。

それに修が女の子にちょっかいかけてるのも初めて見たから……、それ見た瞬間、カーッと頭が熱くなってすごく焦った。とにかく桃子から修を遠ざけないと、ってそればかり考えてた」


郁美は力を込めて、私の手をグッと握りしめていた。


「……修と桃子を遠ざけて、最初は安心してた。でも、だんだん修はあたしと一緒にいてもぼんやり考え事をしてることが増えてきたの。

……修は何も言わなかったけど、桃子のこと考えてるような気がして、不安は消えるどころかますます大きくなっていった」


のろけ話をしにしょっちゅう家に来てた郁美は、そんな不安の裏返しで私にうまくいってるとアピールをしていた、と悔しそうに付け加えた。


郁美の話を黙って聞きながら、思い浮かべるのは土橋くんの意地悪な笑顔ばかり。


郁美と一緒にいるとき、彼はどんなことを考えていたのだろう。


私は小さく奥歯をギリッと噛み締め、私の手を握る郁美の綺麗に磨かれた爪を見つめていた。



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