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幼なじみ
【幼馴染 恋愛小説】

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あの方との共演-1

彼女が死んでから今年で丁度2年6ヶ月目。
村のとある交差点で彼女は轢き逃げに合い、当時17歳という若さでこの世を去った。

俺と彼女の交際期間、6ヶ月目の事だった。
そうは言っても幼い頃からの付き合いで、彼女の全てを俺は知っていた。
明るく無邪気な彼女はいつも俺に微笑みかけていた。
だから――彼女が死んだなんて実感出来ずに今日まで抜け殻のように過ごしてきた。

毎日毎日、僕は彼女の墓へ行く。雨が降っても、雪が降っても、僕は彼女の墓へ行く。
今日も彼女の墓へ行き、線香に火を灯す。手を合わせ目をつむり、彼女に今日の出来事を報告する。


『太〜郎♪』


ふと、彼女の俺を呼ぶ声が聞こえた。
すぐに目を開けるが勿論誰も居ない。線香の煙が目に染みる。

「…花子ぉぉっ…」

ボロボロと涙が溢れ、彼女…花子との思い出が走馬灯のように頭を駆け巡る。

ボケっぱなしな花子。
エロ満載な花子。
下品で横暴な花子。

どれも思い出すとプッと笑ってしまうような思い出ばかりで、逆に彼女が今でも生きているような気がして僕は…

余計に辛くなる。


日が暮れて墓地は静まり返り、僕はやっと立ち上がると墓前にまた手を合わせ、踵を返す。


『…太郎…』


また、彼女の幻聴だ。
しかし振り返る。例え幽霊でも構わない。もう一度彼女を…。

そこには――花子が立っていた。
生前と同じ格好で。
僕はバッグを地面に落とす。

「花…子…なのか?」
『太郎…久しぶり』
「花子…花子!」

幽霊でも何でもいい!
俺は花子を抱き締めようとするが、スルリと抜けて墓石にぶち当たる。

『…ごめんね、お化けだからさ』

少し困ったように笑いながら花子が言った。

「そんな…」
『ごめん…もう行かなきゃ…あんまり居れないんだ』
「花子!いやだ!行くなよ!」
『じゃ…幸せに…ね』

スゥゥとどんどん影が薄くなる花子。

「いやだ!行くな!行くなぁあ花子ぉお!」
【波ぁあああっ!】

不意に背後から光弾が飛んできて花子にぶつかると、墓が吹っ飛んだ。
後ろを振り向くとそこには寺生まれのTさんが!

【見てみな】

Tさんに促され、墓場を見ると花子が地面から顔を出した。

「…あ、あれ?」

花子は戸惑いながら周囲を伺う。
俺はたまらずにすぐ花子を抱き上げた。

「花子っ!花子ぉおおっ!」
「た…太郎!私…私…っ!」

二人は涙を流して抱き合った。


【…へ、見ちゃいられないぜ】

Tさんはそう言うと寺へ戻っていった。
寺生まれって凄い!改めてそう思った。





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