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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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白雪=無敵?-1

もうすぐ、楽しかった今年も終わる……。


『白雪=無敵?』


…5…4…3…2…1…0!
『開けましておめでとう!!!』
神社にいた人達がほぼ同時にそう言った。
もちろん、アタシも。やはりこの一言が無きゃ、日本人に新年は訪れないよな。
「今年もよろしくな、憲」
「こちらこそよろしく、白雪」
今、アタシ達は見ての通り、舞姫神社に初詣に来ている。ここらの人にとって、舞姫神社は年中イベントの中心と言っても過言ではないはずだ。
ここらの人達は、みんな舞姫を信仰してるからな。仏教徒だろうがキリスト教徒だろうが、関係ない。
まぁ、アタシは神様なんてこれっぽっちも信じてやしないが、作り話としては、舞姫伝説は面白い話だと思う。
「白雪、ほらもうすぐだぞ」
「ん…?あぁ、賽銭箱な」
ただでさえあまり広くない境内は参拝客で大渋滞だ。のろのろと前に進みながら、みんな賽銭箱に向かう。
「え〜っと、財布財布…」
憲が財布から五円玉を取り出した。
「あれ?白雪はしないのか、お賽銭」
「アタシは神様は一切信じてない、根っからの無神論者って知ってるだろ。だから、アタシは神様には祈らない。…だいたいさ、五円で神様にお願い聞いてもらおうって、ちょっと図々しくないか?」
「う〜ん、まぁ確かになぁ。でも、五円なのは『御縁がありますように』って意味があるんだろ、確か」
「ふ〜ん……。まぁなんにせよ、アタシはやらないからさっさとお願いしちゃいな」
「あぁ」
憲が放った五円玉はそのまま賽銭箱に消えた。神様に捧げるって言っても、後で神社が回収するんだろ。
まぁ、寄付とかに使うんだったら、それも良いかもしれないけど。
そんな事を考えてるアタシの横で、憲は手を叩いてお願いし始めた。
………何をお願いしてるんだろ。
いや、神様は信じてないけどな、気になるじゃないか。
無言の憲の横でそんな事を考えたら、何か祈っといた方が良いんじゃないか……?と、思えてきた。神社に初詣に来て、祈らないとはなんと言うか…疎外感?…不安感?みたいなものがアタシの心に生まれた。
しかし、憲にあぁ言った手前、するのもなんだかなぁ……。
………えぇい、ままよ!
悩むぐらいなら、行動した方がマシだ!!
アタシは急いで財布から一円玉を取り出して、賽銭箱に突っ込み、かなりのスピードで手を叩いてから祈った。
この間、約三秒。
我ながら、素早い動きだった。まぁ、その素早い動きのおかげで憲には見られなかったんだけど。
え…、何をお願いしたのかって?
もちろん『ずっと憲といられますように』だ。
わかりきった事を聞くなよな。
滞りなく終わって、横に避けたアタシ達はそのまま境内を出口に進んでいく。このバーゲンセールか夏のプールの様な状態の狭い境内にずっといれば、それだけ他の人達の邪魔になるし、正直疲れる。
「あ、おみくじがある。ひいとこうぜ」
「おみくじぃ?」
あぁ、確かに。神社にはおみくじがあるもんだよな。
「ふ〜ん、アタシもひいてみるか」
昔……と言っても小学生の時だったが、四年連続で凶をひいて以来、やってなかったけど……。
まず憲が百円を入れて、くじをひいた。
「お、中吉。なになに……」
くじを広げた憲は下に書いてあるそれぞれの運勢を示唆した文章を読んでいく。
「へぇ、恋愛運は好調らしいな」
「それは良い事だな。どれ、アタシも……」
アタシも百円を入れて、くじをひいた。
「…………………またか」
「ありゃあ、『凶』」
「恋愛運に波乱万丈って……」
な、なにかあるのか、今年は。


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