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露天温泉の豚姫
【フェチ/マニア 官能小説】

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湯治客案内-3

 そろそろ春を迎え、良い陽気となった月末。

午前中は湯治場巡りのシニア夫婦が何組か温泉に入りに来たが、あとは昼にトラック便の運転手やらが昼食をとりに来たくらいで、相変わらず暇な峡谷割目温泉。

だが月末の伝票整理と帳簿付けで、管理人の剛田は忙しくパソコンを前に苦闘していた。

ついさきほど会社員から無事バスに乗ったと電話が来たので、小一時間もすればここに着くだろう。

珠子からもメールが来て、バスの到着に合わせてここに来るとのこと。

今日は傍観者となって、たまに望遠レンズで温泉の様子を覗くぐらいにする腹づもりだった。

帳簿が合わずに、同じ計算を幾度となく繰り返す剛田の耳に、駐車場に車が停まる音が聞こえた。

「ん? 黒澤さんの軽じゃないな?」

車から中年のカップルが降りて、食堂に入ってきた。

「ごめんください」

どうやら客のようだった。

「ここ、峡谷割目温泉やったよねぇ」

関西弁の人なつっこそうなオバちゃんが、剛田に話しかけてきた。

「あ、いらっしゃい。食堂兼温泉の管理してます」

「ほらやっぱり、ここでええんやない。バス停にも書いてあったし」

「そやな、ほな、温泉どこや?」

夫と思われる中年の人の良さそうなオヤジが食堂をきょろきょろ見渡す。

「裏なんで。ここから峡谷に降りたとこが割目温泉、周りから全く見えないんで、最初は戸惑う人多い」

「露天風呂、楽しみやわぁ、こんなババァの裸、誰も見とうないやろけど、あはは」

「誰も入っとらんやろ、なぁ」

貴重品をロッカーに預けさせ、バスタオルを2組渡して入湯税と利用料を受け取る。

「この後、若い方が入りに来っから。あと村役場の観光課の女の子も」

「あらやんあだ、女の子だって、とうちゃん良かったねぇ、目の保養やでぇ」

「なに言ってんや、んなもん見えるわけないやろ。なあ管理人さん、ふぁふぁふぁ」

おもろい夫婦だなと思い、剛田はこの後の展開を考えてちょっと挑発してみようと、

「うちの温泉は、タオル湯の中につけるのは厳禁ですんで。誰でも真っ裸スッポンポンですわ」

「ほれみぃ、温泉のマナーやからな。うちもスッポンポン。でも肥えたオバちゃんじゃ、しゃぁないけど、あはは」

「なに言うてけつかんのや、さっさと温泉行くで」

なんとも賑やかな関西弁のオバちゃんだと剛田はあきれながらも、もういっちょネタ振りしとこうと

「じきに来る観光課の女の子は、奥さんみたいなふくよかなんじゃなくって、もうデブデブだから、元柔道やってた豪快な女の子だよ、ガッハッハ」

「おおぉ、ヤワラちゃんなんや、逞しいねぇ。楽しみやなぁ、なぁとうちゃん」

あの夫婦の前で東京の会社員が萎縮しなければいいと心配する反面、剛田はなんか面白い展開になりそうとほくそ笑んでいた。

やがてバスが売店の前に停まり、走り去る音が聞こえた。

「あ、あの、こんにちは」

戸を開けて入ってきたのはスーツは着ているものの、寝癖のついた髪で小太りのさえない男性だった。

「おお、いらっしゃい。えーっと、あの、東京の方? 出張帰りの」

「あ、はい、そうです、メールでいろいろ、お世話になりました、てへへ」

見かけによらずハキハキした口調だった。

「出張で一泊して、朝早かったんで髭も剃らずにすんません」

「いやなに、気にすっことねえべ、温泉入ってさっぱりしに来たんだべ?」

「あ、はぁ、そ、そうですね」

顔を真っ赤にして汗かいて、緊張している様がひしひしと感じられた。

「黒澤さん、まだなんだ。ここで待つか? あ、あと、中年の夫婦が1組入ってるけど、気にせんでええ。おもろい夫婦だで」

「あ、そ、そうですか、いや、温泉、やっぱり入ってますよね、貸し切りじゃないんだし」

頭をかきながら困ったような、おちつかない素振りだった。

「あのロッカーに、貴重品と荷物入れて鍵して、タオル持って、裏の階段降りたとこに脱衣小屋あるから、そこで籠に服脱いで」

とりあえずテキパキと説明だけは済ませた。

「にいさん、どうするね? 待つかい?」

「あ、いや、先に入っています、なんか、その、てへへ」

ロッカーに荷物とスーツ上下Yシャツと貴重品をしまい、Tシャツとトランクスだけになってタオルを手に裏から階段を下りはじめた。

「ちょちょ、にいさん、ケイタイだかスマホだかデジカメだか、ちゃんと持った?」

「あ、そ、そうだ」

慌てて戻ってロッカーを開けて、バッグからコンパクトデジカメを取り出した。

「にいさん、あわてなさんな、良い写真撮れたら、裏サイトにいっぱい投稿してくれよ、な、ん? よろしくな」

何が目的でこんな片田舎の温泉にまで来たのかを思い出させるように、剛田は噛んで含めるように温泉の注意事項をおさらいする。

「お湯にタオルは絶対に浸けないこと、にいさんも真っ裸、先に入ったおもろい夫婦も真っ裸、これからくる村役場観光課の黒澤さんも真っ裸、わかるべ?」

「あ、は、はい!」

「そんでな、写真もムービーも撮り放題、わかった? にいさん景色撮りに来たんか? ちゃうな? ん? そんなんでメールしてこないべ?」

「あ、は、はい。そうです! あ、いや、景色じゃないです」

「ちょうど良いあんばい、おもろい夫婦も一緒だで、頼んで黒澤さんとのツーショット撮ってもらえ、これいいアイデア、な?」

「あ、そ、そうですね、ツーショット、記念になる」

なんか緊張より欲望が勝ったようで、さっきとは打って変わって意気揚々と階段を下りていった。


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