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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第11話-30

 初回の攻防は、攻守が替わって、双葉大学は1番の岡崎が左打席に入った。
(しかし、なんというか)
 相手チームの捕手の、身体の小ささに少しばかり戸惑う。まるで、少年野球からそのまま飛び出してきたかのようだ。
(それでも、チームの要となっている選手だ)
 捕手ばかりか、4番をも務めている。昨季は主に、後期から主力となっていたそうだが、マウンド上の天狼院隼人と同じように、法泉印大学の快進撃を支えた実力者であるのは間違いない。
「プレイ!」
 主審のコールを受けて、マウンドにいる天狼院隼人が振りかぶった。足が高く上がる豪快な投球フォームから、勢い良くその足が踏み込まれ、折りたたまれていた肘がリリースの寸前で一気に伸びる。
「!?」
 球の出処が、掴みづらい投球モーションだった。そのがっしりとした体躯からは想像もつかない、しなやかな身体の動きが成せるものであった。

 ズバァン!!

「ストライク!」
 岡崎は、途中からようやく視界に捉えたその球筋を、必死に追いかけていた。もともとの球速もさりながら、重みのある球威を感じた。なるほど、“最強の左腕”という異名は伊達ではない。
(ストレートのはずだが…)
 それだけでなく、その軌跡に、微妙なズレを感じた。
 二球目。同じように、高く足が上がり、出処の見づらい肘のしなりを見せながら、ストレートが投じられる。

 ズバァン!!

「ストライク!!」
 岡崎はやはり、手を出すこともなく、外角低目をかすってきたそのボールを見送った。
(……クセのある球、だな)
 球速と球威は間違いなく、ストレートのものだ。しかし、手元に来て本当にわずかだが、微細な変化をしている。やや外側にスライドした、専門用語的には“真っスラ”と呼ばれるボールだ。
「ファウル!」
 三球目として、内角に投じられたそのストレートを、かろうじてバットにかすめた岡崎。だが、今度は、はっきりと内側に寄ってくるようなシュート回転をしているものだった。一般のシュートに比べれば、その変化は微細なものに過ぎないが、ストレートと同じ球威を有し、かつ、同じ肘のモーションで投じられてくるのだから、その判別は容易ではない。
 四球目。それは、外側に来た。
「!」
 ストレートにタイミングを取って、岡崎はスイングを始める。バットのヘッドがしっかりとコントロールされたそれは、間違いなくそのストレートに照準を合わせたものだった。
 その、はずだった。

 ギンッ…

「くっ……!」
 例の“真っスラ”が、今度はいくぶん大きく発動した。芯は当然外れて、当たりの鈍いゴロが相手のショート正面に向かって飛んでいく。
「アウト!」
 岡崎は結局のところ、平凡なショートゴロに打ち取られた。
「やるじゃねえか。俺の“色即是空”を、いきなり当ててくるとはよ」
 それでも、一塁のベースカバーに入ろうとしていた隼人が、岡崎とすれ違いざま、不敵な笑みを浮かべつつそう言って来た。このボールに相当の自信があるのだろう。


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