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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜金美花・上編〜-8

無理矢理されて、とても痛い初体験だったが、私は少しだけ幸せだった。
こんなことをされたけど、やはり紅様は暗い夜道で私を助けてくれた白馬の王子様のような………私の初恋なのだから。
眠気に襲われ、目を閉じる。 明日起きたら、紅様はどうするのかな?
そんなことを考えていると、ふとあの言葉が頭を浮かんだ。
「紅様を暫くの間よろしくね………」


小鳥の冴えずりと朝日の眩しさで私は目を開けた。
今は何時だろう? それほど遅くはないようだけど………
ふと、横を見ると紅様がベットに腰かけていた。
『………おはようございます。 紅様。』
紅様は静かにこっちに振り返った。
『………すまない……』
紅様の表情は今まで見た中で一番、申し訳ないといった表情だった。
『私は………君を………無理矢理………』
『………紅様、お願いがあります。』
そっと紅様の手を取ると、紅様が顔を上げた。
『私をシャルナ様の代わりに………恋人にしてください。』
紅様が驚いたのが表情からわかった。 そして、すぐに困ったようにこう呟いた。
『………しかし………信じられないかも知れないが、実はシャルナは完全に死んだわけではないんだ。』
この紅様の言葉で今度は私が驚く番になった。
『彼女は………100年後にまた私と会う………シャルナはそう言って息を引き取ったんだ……だから、君とは………』
『では、百年間だけで良いです!!
私も、シャルナ様に言われているんです。 暫くの間紅様をよろしくと!
だから………』
もちろん、シャルナ様は恋人になって欲しいなどとは思ってなかっただろう。 恋人関係では無く、上司と部下のような関係で支えて欲しかったのだろう。
それは分かっていた。 だが、私は諦め切れていなかったのだ。
シャルナ様が居なくなって、諦めきれなかった気持ちがまた勢いを付けたのだ。
昨夜だって、本気で抵抗しようと思えば逃げられたのかも知れない。
『………君は………』
『私は、それで十分ですわ………100年間、私を愛して下さい。 紅様………』
私の心の中の悪魔は、静かな高笑いをしていた………


紅館の花達〜金美花・上編〜 完


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