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夕焼けの窓辺
【その他 官能小説】

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第6話-6

「…。」
このままいつまでも立てこもっているわけにはいかない。ぐいっと、涙を手の甲で拭い、恐る恐る鍵を外した。
次の瞬間、思いっきり強くドアを開けられて、彼の力強い腕に体を抱き寄せられる。
そのまま軽々と彼女の体を横抱きに抱え上げて、英里の体はダブルベッドの真ん中辺りに優しく降ろされた。荒々しい一連の動きがまるで嘘のように、ベッドのふわりとした感触が背中に伝わる。
拭ってもまだ目の端に少し溜まっていた涙を、圭輔は親指で拭った後、そっと彼女の唇に口付けた。
鍵を外した直後から、一体何が起こったのか。あまりにも急な展開に、すっかり涙も引っ込んで、きょとんとした顔の英里を見つめながら、圭輔は、
「可愛いよ」
と嘘偽りない率直な気持ちを伝えた。
これが、心を奪われるという事なのだろう。
恥じらいながら彼女が出てきた瞬間、心臓をぐっと鷲摑みにされたかのような心地さえした。
くらくらとした眩暈のような感覚を覚えながら、すぐにでも彼女に触れたくて堪らなくなった。
「いいんです。似合わないって、自分が一番よくわかってるから」
しかし、まだ彼がお世辞を言っていると思って疑わない英里は、圭輔から顔を背ける。
ランプシェードから漏れる淡い光が、横たわった彼女の体に美しい陰影をつける。
「わかってないよ。すげぇ可愛い。…俺のために、わざわざ用意してくれたの?」
彼は頬を紅潮させて、英里の耳元でそっと尋ねる。
こういう風に圭輔があからさまに感情を表情に出すのは、珍しい事だった。
「ち、違います…友達が、去年の誕生日に無理矢理プレゼントしてくれて、一度もしないのも悪いから着けてみただけで、別に圭輔さんのためなんかじゃ…」
そう、しどろもどろに真実を伝えるが、圭輔には英里が強がりを言っているようにしか到底思えず、ますます愛しさを募らせる。
その話が嘘か真かなど、彼にとってはどちらでも一向に構わなかった。
ただただ彼女の友人に、多大な感謝の念を送る。
「…今日は、着たまましよっか」
それはもう、とんでもなく嬉しそうな笑顔を湛えたまま、圭輔はそんな事を呟き、英里は思わず目を剥く。
「えっ!?やだ、早く脱がせて下さい!」
「英里がそんな事言うなんて珍しいな…。でも、今日はそのまましよ。脱がせるの勿体無い位、可愛いから」
「だから嘘、言わないで下さい!…似合わないって、ほんとは心の中で笑ってるんでしょう!?」
顔を背けて、英里は圭輔から視線だけを外す。拗ねたような顔に、泣いてしまったせいで少し鼻の頭が赤く染まったその顔が、普段の彼女よりも幼く見える。
「じゃあ、似合わない」
「ほら、やっぱり…!」
「何で否定する方はあっさり信じるんだよ、冗談だって。可愛すぎておかしくなりそう」
これ以上言い合いをしても埒が明かないと思ったのか、彼はまだ何か言いたげに開きかけた、英里の唇を塞ぐ。
「んっ…!」
ぴり、と小さい静電気のような感覚が英里の背筋に走る。
ねっとりと這い回るように、彼の舌が、彼女の口腔内を犯す。
とろんとした英里の瞳は、徐々に快楽に侵されている証拠だ。
ぎこちなかった彼女も、次第に彼の舌を受け入れ、自分から絡ませてくる。
とりわけ大きい方でもない彼女の胸だが、今着けている小さめの下着のせいで、胸の谷間がいつもよりも強調されている。圭輔は唇を離して、その、零れんばかりの胸元に今度は唇を寄せる。
肌理の細かいその白い肌には、少し強く吸っただけであっさりと痣が残る。
英里はその紅い印を一瞥した後、恥ずかしそうに視線を泳がせた。
「……ほんとに、ほんとに変、じゃない?」
最後に念を押すように言いながら、英里は圭輔の顔を不安げに見上げる。
「抑え利かなかったら、英里のせいだからな…」
圭輔はゆっくりと頷き、熱っぽい瞳でそう告げた。
その直後、また彼女の唇に、彼の唇が重なる。
何だか、彼の体がいつもよりも熱い。
たったこれだけの事なのに、効果覿面すぎる。
これは、もしかして友人に感謝するべきなのだろうか。
男の人って、案外単純なところもあるんだな、などと英里はぼんやりと思った。


細い肩紐を指で弄びながら、圭輔は何度も彼女の顔や首筋、鎖骨のあたりに口付けを降らせる。
その傍ら、大きな手は彼女の足や、腹部の辺りを優しく摩っている。
まるで熱に浮かされたように、熱い彼の唇が肌に落とされる度、英里の胸は震える。
それどころか、彼の髪が肌を掠めるだけでも、体に淡い快感が走る。
気分が高揚しているのは圭輔だけでなく、英里も同じだった。
一旦顔を上げると、圭輔は少し汗ばんできている英里の胸元に顔を埋める。
しっとりと吸い付くような、柔らかい彼女の肌と、上質な肌触りの良い布の感触。
両肩のストラップを二の腕のあたりまで下ろし、胸を覆っているカップを少し下にずらして、隠されていた赤い突起を露出させる。
そこは堅さをもっていて、指先で触れると、ぷりっとした弾力が彼の指を押し返してくる。
「ん…っ」
人差し指でくにくにと円を描くように捏ねられ、堪らず英里は呻き声を漏らした。
乳房に埋もれる位、突起を押し潰すように捏ね回しながら、もう片方は薄い桃色の乳輪全体を口に含む。
生温かい感触が乳首全体を包み込み、英里は身悶えた。
彼の舌は彼女の突起の先端を弄ったり、全体を舐めたり、時折唇で吸い上げたりと、様々な角度から英里を翻弄する。
吸い上げられながら、軽く歯で甘噛みされると、今まで味わった事のない感覚に、英里の体に電流が走る。
「あぁっ…!」
圭輔はそんな英里の反応に、満足げに目を細めると、ますます敏感になったそこを責め立てる。
指で弄っている方は、2本の指ですっかり堅く勃ったそれをきつく摘むように挟み、口に咥えている方は舌全体で優しく撫でるように舐め回し、時折弾くように上下に揺さぶる。


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