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ツンデレ。
【女性向け 官能小説】

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ツンデレ。-9

やっばい…気持ちよすぎた―――……


今更ながら自分の痴態に恥ずかしさがこみ上げ、アラタの顔を見ることが出来ない。
でもふと気がつく。自分だけ気持ちよくなっていたことに。
続きは、と無意識でアラタに目を向けるとそこには驚きの光景が。


「顔、真っ赤…」
思わず声に出てしまう。
「うるせーな、言うなそれを」
支えてもらっていた右腕を離され顔を覆ったせいで、後ろにひっくり返るアキ。
どさっとソファに身体が落ちて小さく悲鳴をあげた。
「ちょっともう!びっくりしたじゃない!」
「ざまあ」
顔を見れないのはアラタも同じようだった。
見れば耳まで真っ赤に染めている。
…可愛い。
笑みを覚られないよう平然を装うアキ。
手で口元を覆い伏目がちなアラタを見ていると「見んじゃねえよ」と一蹴される。
それでもじっと見つめていると「は〜〜…」とため息をつかれる。
それでもめげずに見つめていると「お前、反則」と言われた。
「なにが?」
「なにがって、お前が」
「名前で呼ぶんじゃなかったの?」
「…アキが」
「あたしが、ちょっとは可愛いなとか思ってくれたりした?」
「……」
答えない。でもきっとこの無言が答えだ、とアキは嬉しく思う。
「続き、しないんですか?」
「しねえよ。切開したばっかの女に突っ込むほどバカじゃねえ」
「突っ込むって!でもまぁそれ同等に激しかったけど」
「……」
「だけどしこりのことなんか忘れてちゃってました」
「…明日にはだいぶ腫れも収まる」
「はい。ありがとうございます」
痛まないよう、触れないよう、ぎりぎりの理性は保って愛してくれていたのだと今になってわかる。その証拠に、ガーゼには汚れもなく寸分のズレも無かった。
一方的な感情から始まったと思っていたいきなりの情事は、はじめからアキを第一に思いやった上で成り立っていた。
いちいち言葉に出さないせいで、あとから気付くたくさんの不器用な愛。
きっと今までもこんな風に、知り得なかった愛情表現があったのかも知れない。
「…たまには言ってほしいけど」
ぼそっと言うと、優しく引き寄せられた。
右胸に顔をうずめ、右腕の中にすっぽりと収まっている。
大きな右手が頭を優しくぽんぽん、と撫でる。
…安心できてしまう心地良さ。
それは多分、ついさっきまで疑いの余地の無い愛を存分に貰ったからだと実感できる。
だから自分からも与えよう。
この人の不安がなくなるまで。

「――アラタ。」

優しく名前を呼んであげる。
「なに」「アラタ」「何だ」「アラタ」「なんだよ」
柔らかな時間の流れ、満たされすぎて溢れる気持ち。
耳元で心からささやく。

―――――だいすき―――――


「そこらへんで止めねえと今度は本当に突っ込むぞ」
参りましたとばかりの表情に笑みがこぼれる二人。

求められなくても、何度でも言ってあげよう。
本当は甘えんぼで寂しがりやの愛しいあなたのために。
あたしは子猫。あなたは狼。
でもその風貌は、子猫の姿をした狼だったのね。
愛に満ちたキスを受け止めながらあたしは思う。


そう。
あたしの彼はツンデレ。


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