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三叉路 〜three roads〜
【学園物 恋愛小説】

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ざわめき-7

私はくるりと柵に背中をもたれかけてオレンジジュースをズズッと飲んだ。


「ね、こんな可愛い娘を振って、私を好きになる理由なんてないよ。だから、土橋くんが私を好きかもって言うのは沙織の勘違いだからね」


私は少し淋しい気持ちを抑えつつ、はっきりと沙織に言った。


悔しいけれど、これが現実なんだ。


「……桃子って自分を卑下し過ぎだよね」


沙織が苦笑いをこちらに向ける。


「確かに元カノさんはスッゴく可愛いね。でも外見だけで恋愛がうまくいくわけじゃないよ。この娘だって修に振られてるんでしょ。確か、性格が合わなかったんだっけ?」


初めて土橋くんらと四人で遊んだ時にめんどくさそうに話をしたときのことを思い出しながら、黙って頷いた。


「誰だってうまくいくときもあればそうじゃないときもあるんだし、一方的に自分は無理なんて決めつけない方がいいよ」


沙織の言ってることはわかる。わかるよ?


でも、外見がいいってだけで、話したこともない郁美のことを好きになる男の子はたくさんいたし、私はせめて内面だけでも明るく優しくいようと心がけても、バカにしてくる男子はたくさんいた。


今までずっとそんな現実を叩きつけられながら育ってきた私には、沙織の言うことはすんなり受け入れられそうにない。


「……なんかいつの間にか私が土橋くんを好きなことになってるし」


私は小さく笑った。


「ああ、ごめんごめん」


沙織も舌を出して笑う。


「でも、桃子がいつか誰かを好きになったら真っ先にあたしに教えてよね!」


「うん、わかった」


私は微笑みながら頷いた。


多分打ち明けられないとわかっていながら。


沙織から携帯を返してもらい、改めて画面を見やると幸せそうに笑う郁美の顔が。


この頃にももちろん彼氏はいて、のろけ話をさんざん聞かされた記憶がある。


確か相手の男の子は、中学の三年間ずっと郁美を好きだったけど言えずにいて、卒業式の日にやっと告白をした、とかいう話だったっけ。


私は、その男の子とは同じクラスになったことがなかったからよく知らなかったけど、スポーツ万能で野球部の主将でなかなかかっこいい男の子だった。


付き合うことになったと聞いたとき、今まででいちばん郁美と似合う人だと思った。


爽やかな美男美女が並んで卒業式から帰る姿は、誰もがそう思っただろう。


一途に郁美のことを想い、女の子からもてても誰とも付き合わなかった、とても真面目な男の子。


こんな人と付き合えば郁美も落ち着くはずだと、このときは思っていた。


でも、この恋も三ヶ月ほどで郁美が一方的に別れを告げた。


理由は、その人が高校でも野球部に入り、部活三昧の日々で郁美のことを優先しなかったから、らしい。


そんな報告をしてきたときに、郁美にはすでに新しい彼氏ができていたのである。




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