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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第10話-40


 球場で解散となり、双葉大学軟式野球部のメンバーたちはそれぞれが帰途についていた。
 桜子と大和も、家路を辿る。
「え?」
「うん。今日は、大和のところに行くつもりだよ」
「でも……いいのかい?」
 バス停まで桜子を送り、彼女がバスに乗るところを見届けてから、ひとりアパートに帰るつもりの大和だったが、桜子がそう言い出してきたため、同じ方向で、帰り道を並びあって歩くことになった。
「由梨さんの側に、いてあげなくても…」
 本音を言えば、桜子がアパートに来てくれることは、とても嬉しかった。今日は、特にそうだった。ずっと側に、いて欲しいと思っていたから…。
 それでも、由梨に対する遠慮があって、大和は、自分が望んでいるのとは真逆のことを口にしていた。
「お姉ちゃん、だいぶ落ち着いてきたから。……あたし今日は、大和のそばにいたいの」
 ぎゅ、と手を握られた。それ以上の言葉は、何も要らないぐらいに、強い意志がそこから伝わってきて、大和は、何か満たされるような暖かさにくるまれた。
 桜子に、伝えたいことがあった。それでも、何も言えなかった。そういう自分を、卑怯に思いながら、大和は結局、アパートに帰りつくまで、無言のまま時をやり過ごしてしまった。
「………」
 桜子を招き入れるのは、何週間ぶりだろうか。ひと月は経っていないと思うが、随分と長い時間、桜子と触れ合えなかったように、大和は思えて仕方がなかった。
「!」
 桜子をまずは部屋に通し、玄関の鍵を閉めてからそこへ足を向けた大和は、いきなりふくよかな感触に包まれた。桜子に、抱き締められたのだ。
「さ、桜子……?」
 とても急な抱擁だったため、大和は戸惑った。マウンドで抱き締められたときは、プロテクターがあったから、固い感触しか味わえなかったが、それがない今、彼女の豊満な柔らかさを、心ゆくまで感じることが出来た。
「ど、どうしたんだい……?」
 まだ、シャワーも浴びていないのに。
 大和は、ハグを受けたまま身じろぎもできず、桜子の突然の抱擁の真意を図れないまま、困惑するばかりであった。
「言ったでしょ。今日は、大和と一緒にいたい」
「桜子…」
 ひょっとしたら、彼女は気づいているのではないか? 知らず、身を固くする大和であったが…、
「大和をずっと、抱き締めていてあげたいの…」
 ぎゅ、とハグの力具合が更に強まった。まるで大和の心情を慮っているかのように、何も聞かずに桜子は、その全身を使って、全てを包み込んでいる。
 汗と土ぼこりの入り混じった匂いが、それでも大和には心地よいものに思えた。
 その心地よさが興奮となり、大和は自身が滾るのを自覚した。桜子の匂いと、柔らかさに包まれれば、そのようになってしまう自分を、偽ることなどできない。
 桜子のことが、とても欲しかった。
「大和。あたし、大和のことが欲しい」
「!」
 求める言葉は、しかし、桜子の口から発せられた。ハグの力加減が少しだけ弱まり、目と目で見つめあった刹那、その顔が近づいてきて、何かを言うよりも先に唇を塞がれていた。


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