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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第10話-34



  【双葉大】|000|000|1  |1|
  【仁仙大】|010|100|   |2|


 “納豆打者”の結花が、続いて打席に入る。そして彼女は、持ち前の粘りをまたしても発揮し、四球で一塁に歩いた。彼女の四球獲得率は、二試合だというのに、驚異的な数字を誇っている。まさに、“納豆打者”である。
 9番打者の航が、打席に入った。隠し球でアウトに取られている彼だから、好機のこの打席では相当な気概を感じているだろう。
 事実、打席の中で悠然と構える彼の姿には、“打ち気”が明らかに見え透いていた。
「!」
 航は、それを逆手に取った。彼は既に、三塁走者の大和に対してサインを送っていた。バットのヘッドを地面につけて、メットのひさしに二本の指をかけていたのだ。
 つまり、“スクイズ”であった。
「セーフ!」
 本塁クロスプレーになったが、大和が上手く相手のタッチをかいくぐり、ホームベースを陥れた。これで、2点目となり、双葉大学は同点に追いついたのだ。航は見事に、屈辱を晴らしたのである。誠治と一瞬目が合ったが、もう航は、何も言葉にしようとしなかった。


  【双葉大】|000|000|2  |2|
  【仁仙大】|010|100|0  |2|


 7回裏の仁仙大学は無得点に終わり、いよいよクライマックスと言える8.9回の攻防を迎える。
「投手交代!」
 それを見計らったかのように、仁仙大学のベンチが動いた。
「きたな」
 8回表は、3番の雄太からである。そして、雄太は、早い時期から相手の継投を予想していたが、それがついにやってきたのだ。
『仁仙大学、投手の交代をお知らせします。ピッチャー、関根にかわりまして…』
 たしか、相手の控え投手には、速球派の“福原”という投手がいたと、『“隼リーグ”特集号』の記事を、雄太は思い出していた。速球派というのだから、抑えとして登板するには、またとない投手であろう。実際、初戦でも確か、3イニングを零封している。
『水野』
 …しかし、予想していた名前は呼ばれず、『“隼リーグ”特集号』にも掲載のなかった苗字がアナウンスされていた。おそらく、開幕戦の後に、選手登録をされたのであろうが…。
「水野?」
 怪訝な視線を、マウンドにかけていった投手に注ぐ。先発の関根よりも、華奢な体格の投手が、マウンドに立っていた。
「左、らしいな…」
 投球練習を始めたその投手は、グラブを右手にはめている。左上手から、山なりのボールを何度か投球し、最後の1球を投じた後、帽子を外して、肩口まであるその髪を、風にそよがせた。
 それはとても、優雅な仕草であった。


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