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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第10話-1

  第10話 「COMPLICATION 〜交錯〜」



「いやあああぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「!?」
 朝、というにはまだ薄闇の残る時間帯であった。
「葵くん!」
 その薄闇を切り裂くような絶叫を聞きつけた瞬間、誠治は自らまどろみを破り捨て、愕然としながら自らの頬を両手で覆う葵の様子を目にすると、間髪を置かずに、彼女の体を強く抱きしめていた。
「やああっ、いやぁああぁぁぁ…!!」
 抱きしめられても、葵は、誠治の腕の中で半狂乱に頭を振り回す。見開いた両目は色を無くし、開かれた口の端からは涎が垂れ落ちて、普段の彼女からは全く想像もできない、凄まじいばかりの狂態を晒していた。
「ああぁああぁぁあぁぁぁぁ………」
 喉の奥から搾り出すような、悪霊の叫びにも似た、葵の慟哭。それを何度も耳にしている誠治ができるのは、悪夢にうなされた葵が正気に戻るまで、その体をきつく、腕の中に抱きとめておくことだけだった。
「………」
 時間にして、2分ほどであろうか。葵の暴れる力が次第に弱まり、慟哭は静かな嗚咽に変わり、自らの頬に爪を立てていたその両手は、いつしか誠治の体に廻されて、しがみつくようになっていた。
「ご、め、ごめんな、さい……」
 慟哭の余韻が、鼻声となって残っている。
「大丈夫ですよ。貴女が落ち着くまで、こうしていてあげますから」
 そう言って誠治は、葵の髪を優しく撫で梳かした。怖い夢を見てしまった彼女に、安らぎが戻って来るように、溢れんばかりの愛情を込めて…。
「誠治、さん……」
 それを享けて、葵の雰囲気が落ち着いたものになった。
「綺麗な顔が、台無しです」
 いうや誠治は、涙もろもろでべとべとになってしまった葵の顔を、ハンドタオルで優しく拭う。
 誠治のいたわりを、まるで童女のように、葵は受けていた。
「………」
 涙に濡れた麗女の顔、というのは、劣情を煽るものである。しかも、今は朝、であるから…。
「あ」
 吐息にも似た、葵の声。右腕が丁度、“そこ”に当たっていたらしい。
「は、はは。面目ない」
 誠治が腰に備える自らの分身が、大きな峰を作っていたのだ。男子にとっては起床時特有の現象と、柔らかい葵の身体そして涙姿に、煽られるものが重なって、無意識とは言え、こうなってしまったのである。節操がない、と言われてしまえば、返す言葉がなかった。
「あの……」
 ところが、である。
「鎮めても、いいですか?」
「え」
 言うや、葵は両手をその峰の頂点に伸ばし、優しく撫で回してきた。
「う、あ、葵くん……」
 たとえ軽い接触とはいえ、感度のいや増している急所を慰撫されれば、すぐさま反応してしまう。誠治の作った雄雄しい峰は、葵の慰撫を悦ぶかのように、その屹立を更に大きくして、大連峰というべき様を、たちどころに表すようになった。
「あの……」
「は、はい?」
「脱がせても、いいですか?」
 いやもう、ぜひ。
 形にならなかった誠治の言葉を代弁するように、大連峰が鳴動した。
「………」
 葵は、誠治が身に着けている寝巻きのズボンに手をかけると、それを引き下ろしにかかる。誠治も、その動きを助けるように、腰を浮かせていた。
「ああ……」
 葵が漏らした、感嘆の吐息。中空に晒された誠治の屹立が、彼の細身の体つきに似合わぬ、雄大かつ雄渾な様を呈しており、それに陶然とさせられたのだ。
「う」
 葵の、華奢で長い指が、誠治の屹立に覆いかぶさってきた。なにか、とても大事なものをいとおしむかのように、葵はゆっくりと両手を上下して、時に律動する誠治の屹立を、宥め始めた。
「熱い、です……手が、焼けるよう……」
 その屹立は、マグマが滞留している火山を連想させるほど、熱い感触を葵の掌に与えてきた。


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