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狐もふもふ
【ラブコメ 官能小説】

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出会い〜そして〜-11

 夜も更けてきたので寝たほうがいいだろう。今日は予想外なことが起きすぎて、僕も精
神的に疲れてるしね。寝て気力を回復させた方がいいだろう。
 布団を床にひき、寝る準備を始めるが、コンさんの分の布団があるわけもなく――
「僕はソファで寝ますので、コンさんはこの布団を使ってください」
 さすがにコンさんを床やソファで寝かすわけにはいかないよね。お客さんとはまた違う
けど、コンさんは女性なんだからこんな寝づらそうな場所で寝かすわけにはいかない。
「何をバカなことを言っておるのじゃ? お主も一緒じゃろ」
「あ、いや……その布団に二人で寝るのは厳しいので、僕はこっちで……」
 予備の毛布を出してソファにかける。
「別に厳しくはないじゃろ。この布団のサイズなら二人で寝られるはずじゃが?」
「確かに言うほどギリギリってわけじゃないですけど……」
 僕が言いたいのはそういうことじゃなくて――女の人と一緒の布団で寝るのが厳しいっ
てわけで……
「そんなところで寝てはお主の疲れが取れんじゃろ。ほら、いいからこっちに来るのじゃ」
 僕の腕を掴んで無理やり布団まで移動させる。
「い、いや……僕はソファでいいですって! 布団はコンさんが一人で使ってください!」
 密着するような感じで一緒の布団に入るだなんて、僕には耐えられないよ。疲れを取る
ために寝るのに、そんなことになっては、疲れが取れるどころか溜まるばかりだ。
「何故そこまで布団に入ることを拒むのじゃ? そんなにも私と一緒に眠るのが嫌なのか?」
「そ、そういうわけではなくて……」
 コンさんはもう少し、男心を理解した方がいいと思う。年頃の青年が綺麗でスタイルの
いい女性と一緒の布団で寝て、正気を保てると思っているのだろうか?
 もし、そう思っているのならコンさんは男を甘くみ過ぎだ。男という生き物は時には狼
になって女性を襲う生き物なんだ。
 お風呂場では辛うじて僕の理性が勝ったけど、何時間もコンさんと密着するようなこと
になっては僕の理性がもたないよ。
「つべこべ文句を言わず、一緒に寝るぞ!」
「ちょ、ちょっと――っ!?」
 有無を言わさず布団の中に押し込められる。そして、その隣にコンさんの身体が滑り込
むように入ってくる。
「温かいの……」
「そ、そうですね……」
「こら! 何を布団から出ようとしておるのじゃ! お主はこの布団で眠るのじゃ!」
 ジワリジワリとバレないように布団から出ようとしたけど、見つかってしまった。はぁ……
こうなったらコンさんが寝るまで諦めるしかない、か。
 コンさんが寝たら、起こさないように布団から出てソファで寝ればいいよね?
「では、コンさんお休みなさい」
 部屋の電気を消し、就寝の挨拶をする。
「うむ。お前さんもお休みなのじゃ」
 静かに瞳を閉じてゆっくりと眠りにつくコンさん。後は完全に意識が落ちるのを待つだけだ。
 意識が落ちれば、僕もゆっくりと眠ることが…………
「ん、んぅ……」
「これは予想外だ……」
 コンさんが眠れば布団から出られる。そう思っていたのに――現実とは実に非情だ。
 僕の腕に絡められたコンさんの腕。抱き枕でも抱くかのように両腕でシッカリと掴んでいる。
 これでは、抜け出したくても抜け出せないじゃないか。
「ぅ……くぅ……すっ」
「うぐぐ……どんだけ強く掴んでいるんだよ……」
 実は起きているのでは? と思ってしまうほど強く僕の腕を掴んでいる。これは、剥が
すのはかなり難しそうだ。
 下手に力を入れるとコンさんを起こしてしまいそうだから……かと言って、ずっとこの
ままでいるのは僕の精神衛生上よろしくない。
 だって、両腕でガッチリと掴んでいるから、僕の腕がコンさんの柔らかな胸に当たって
いるんだよね。しかもそれだけじゃなくて、コンさんの身体から香る匂いが僕の鼻腔を刺
激してくる。こんな状態で正気を保てだなんて厳しいでしょ。
 どうにか眠ることが出来たらいいんだけど、残念ながら眠ることなんて出来ない。
 むしろ変にドキドキしてきて、起きなくていい部分が起きてきた。こんなムラムラした
状態でいろだなんて酷い罰だよ。
「くぅ……」
「はぁ。コンさん……実は起きていたりしませんかね?」
 無駄だと知りつつも小さな声で問いかけてみる。
「んく、すぅ……っ」
 僕の問いかけに穏やかな寝息で応えるコンさん。あぁ、これは完全に深い眠りについてるね。
 この腕を剥がすことも出来ないし、一体どうしたら……
「んぁ……っ」
「――――――っ!?」
 こ、ここ、コンさんっ!? な、何故に足を絡めてきているのですか!? 身体半分に
感じるコンさんの温もり。
 あぁ、これはもうダメだわ。完全に理性が崩壊するよ。これもすべて無防備な姿を晒し
て誘ってきたコンさんが悪いんだ。エッチなことをされても仕方が無いよね?
 誰に聞くわけでもなく空中に言葉を吐き出す。
 僕はやる。やるんだ。コンさんにエッチな悪戯をして自身の性欲を静めるんだ!
 空いている片方の手で豊満な胸に触ろうと手を伸ばしていたら――
「んん……助けてくれて……感謝する……の、じゃ……んぅ」
「――ぁ」
 僕が子供の時の出会い。怪我をした狐と何も出来なかったただの子供。あの時のことを
夢で思い出しているのか、コンさんが寝言で僕に感謝の言葉を伝えた。
 そういえば、コンさんとこんな風になっているのは元々僕にあの時のお礼をしたいから
なんだったよね。コンさんは純粋に感謝をしているというのに、僕は――
「本当に僕はバカだ」
 それも、とびっきりの。胸に伸ばしかけた手を引っ込め自分の頭を殴る。
「――っ、よしこれでいい」
 情けない煩悩は意地で抑えつけろ。コンさんの期待を裏切るな。煩悩を消去って、無理
やりにでも眠りにつくんだ!


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