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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第8話-4


 享和大学との入れ替え戦まで、あと1週間足らず…。
 双葉大学軟式野球部は、実戦形式の練習をメインにして、一日一日と近づく決戦の日へと備えていた。
 大一番を控えているだけあって、メンバーたちには気負いがどうしても出てくる。
 雄太や岡崎でさえ、いつにない緊張感を身に纏っているのは、来年を1部で戦うためには、今年が最後のチャンスになっているからだろう。
「ウォーム・アップは、ニュウリンにですよ」
「「「Sir!」」」
「それから、ハラキリすぎてもいけませんよ」
「「「Yes,sir!!」」」
 監督としてのエレナが一番気にかけなければならないのは、怪我人が出ることだった。だから、準備は“入念”にしなければならないし、“張り切り”すぎてもよくないことを、皆に促していた。
 誰かが試合に出ることさえ出来ない怪我をしてしまったら、その時点でチーム割れを起こしてしまうのが双葉大の弱みでもあった。本当の万が一の時には、チームを離れた留守と植田に助力を仰ぐつもりでいるが、ブランクのある彼らに決戦の舞台での活躍を期待するのは、酷というものだろう。
 ベストの状態で試合に臨むこと。簡潔にして難事なテーマを胸に、日々の練習に励む面々であった。

 決戦の日まで、あと2日…。
「おつかれさまでした!」
 この日、アルバイト先であるバッティングセンター、“豪快一打”のシフトに入っていた大和は、その勤務が終了するとすぐに“エキサイト・ピッチング”のブースへ足を運んでいた。
「それじゃあ、戸締りは任せたからな」
「はい。ありがとうございます、店長」
 時間は閉店を既に越えている。それでも灯りが落ちていないのは、店長である風祭が、投手としての復帰を期する大和の練習を、店内の施設をフルに使って全面支援しているからだ。
 風祭自身も、大和の練習を見届けたい気持ちでいるのだが、どうしても早くに出かけなければならない公用もあり、やむなく帰宅することにしていた。
「オーバーワークは、するんじゃないぞ」
「兄ちゃん、それは俺がしっかり見とくから」
「頼むな、満」
「オッス」
 従って、風祭の代わりにいつも店に残るのは、義弟の藤島満だった。満もまた、大和にとって、頼もしき後援者の一人だ。
「さて、それじゃあ始めるか」
 模擬マウンドの上に立つ大和を、正面・右側・左側・背後と、リモコン式で設定されたビデオカメラ4台が囲んでいる。それを操作し、ノートPCを介してモニターに投影しながら投球フォームをチェックするのが、彼の主な役割だった。
「試合は明後日だよな。なら、今日こそは“免許皆伝”といきたいところだな」
 満は大和に、“エキサイト・ピッチング”での2回連続パーフェクトを課している。
「だがな、オーバーワークも禁物ってアニキに言われてるからな。大和、チャンスは3回までだ。泣きの1回も、今日はナシ。そんでもって、明日もナシだから、今日がラストチャンスってわけだぜ」
「はい」
 的である9枚の板に対して、与えられる投球数は12球。満数で投球をするとすれば、3回のゲームで36球になる。2日後にもし登板する機会があるとするなら、妥当な数字といえる。
 これまで大和は、二日おきにこの“エキサイト・ピッチング”での投球練習を重ねてきた。多い時で、1日に6回のチャレンジをしたこともあるから、実践に近い投球をそれだけ重ねてきたことにもなる。


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