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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』第8話-22


  享和大|000|110|1
  双葉大|400|000|0

 8回表の享和大学の攻撃は、3番から始まる。彼らにとってもここが正念場と考えているのであろう、じりじりとしたプレッシャーがバッテリーには感じ取られた。
「………」
 桜子はこの試合、大和に対して初めてサインを出した。大和は間をおかず頷きでそれに応え、投球を開始した。
「ストライク!」
 ストレートが外角低めに決まった。
「ナイスコース!」
 要求どおりのコースを貫く制球力は、先の試合ではなかったものだ。新しくなったリリースポイントを、彼は完全に習得したのだろう。
「ストライク!!」
 二球目は、内角低めのギリギリいっぱいを突いたストレート。一瞬手を出しかけた相手打者がそれを見送ったが、主審はストライクをコールしていた。
 ツーナッシングと追い込んでしまえば、最後の決め球はひとつ。

 ズバンッ!

「ストライク!!! バッターアウト!」
 “例のあれが来る”と、身構えた打者をあざ笑うかのように、外角低めを鋭く突いたストレートが、桜子のミットを高く鳴らした。
「〜!」
 悔しそうな表情を露骨に表して、3番打者は打席を去っていく。
 入れ替わるようにして、4番打者が左打席に入った。雄太は彼に、全打席で出塁を許してしまって、かなり苦しめられていた。
「………」
 4番打者から漂う風格は、1部リーグで戦ってきたことが伊達ではないということを示している。決して油断をすることは出来ない。
「ストライク!」
 まずは内角低めの、厳しいコースをお見舞いした。左の雄太から、右の大和にスイッチしたこともあり、左打者の膝元への投球はその斜角が変わる。
 目の慣れた球筋とは、球威も異なっていて、相手の打者はボールが見えていないような印象を受ける見逃しをしていた。
「………」
 桜子は、ふ、と体を動かしてからミットを構えた。瞬間、相手打者のグリップがぴくりと動いたのを彼女は見逃さなかった。
「!」
 二球目は、外角低め。相手にとっては、予測とは違うコースになったようで、これもまたスイングをすることなく見送ってきた。
「ストライク!!」
 当然ながら、コースはストライクゾーンをかすめていた。
 桜子が相手打者寄りに体を動かす仕草を見せたのは、内側に来る可能性を示唆することを相手にわざと見せるためであった。そんなフェイクに相手のグリップが反応を見せたので、内角狙いであることを見切った桜子は、アウトコースへのストレートを大和に要求していた。
 それが見事に、はまったのである。
 ツーナッシングになった瞬間、相手打者の構えに力みを感じた。
「ストライク!!! バッターアウト!!」
 “例のあれが来る”という雰囲気がありありだった。その中で投じられた内角低めのボール球は、打ち気に逸る相手のスイングを誘い、バットは止めたがハーフスイングが認められて、三振を奪いとった。
「〜!」
 中途半端なスイングをしたことに、相当の悔しさがあったのだろう。天を仰いで、それを顕わにしながら、4番打者は打席を去って行った。


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