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二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

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耽ける兎-4

 公園のベンチに座ると、俺はお茶を開けて一口飲んだ。
 ツキコも俺に習って、同じようにした。黒のストッキングに包まれた足が、ベンチの下に伸びている。
 華奢だが、その黒に包まれた足がなんとなく艶かしくて、見つめているとうっかり触ってしまいそうな気分になる。
 
「寒く、なってきたね」
「ああ。寒くなると、ハヤカワさん、その黒いの履くようになるものな」
「ヤダ、変なこと言わないでよ、もう」

 ツキコは自分のスカートを引っ張って足を隠すような仕草を見せた。
 非難がましい視線を、俺に向けている。このスケベが、とでも言いたいのだろうか。

「変なことって、ストッキング履いてるなって言っただけだろう?」
「そうだけど……」
「ハヤカワさんと付き合う男は、大変だな」
「……え?」
「だって、もの凄くガードが硬そうだし、なかなか深い関係にはなれそうにないよ」
「そ、そんなことは、無いわ。それに、わたしは」
「俺と、本当に付き合いたいの? 俺、まだ信じられないんだ」
「そう言われても……どうすれば、信じてもらえるのか、わたし分からないわ」

 俺は意地の悪い事を言ってしまっているが、信じられないことは本心だった。
 何か俺のことを勘違いしているのではないか。
 正直なところ、彼女にはもっとふさわしい男がどこかにいるだろうと思っている。
 俺などに惚れるには、ツキコは出来が良すぎた。
 そのふさわしい男と幸せになってくれるなら、いくらか寂しいが、俺はそれでもいい。
 じゃあ、いっそ、ツキコが嫌いそうなスケベ男になってしまおうか。
 
「じゃあ、一つ聞いていいかな?」
「うん、何かしら?」
「……ああ、やっぱり、やめておくよ」
「何よ、言いかけてやめるなんて、気になるじゃない」


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