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二兎追う方法、教えます
【学園物 官能小説】

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耽ける兎-2

「そういえばさ、リクオ君、知ってる? 前の会長のこと」
「前の会長? ああ、三年の男子の? 今、海外に留学してるって聞いたよ」
「そうね。何で留学したと思う?」
「さあ、そこまではわからないな」
「噂だけど、サトウさんが関係してるって、ちょっと聞いたことがあるの」
「えっ?」
「詳しくはわからないわ。でも、わたしも二人が一緒にいるとこ、偶然見たことあるの」
「へぇ……だって、同じ生徒会なんだから、そりゃ一緒にいただろうさ」
「うん……でも、なんか……仲間って言うより、男と女って感じに見えて……」
「どういうこと?」
「もう、それ以上、言わせないでよ」

 前の会長のことなどは、顔しか知らない。しかも、今は海外にいるのだ。
 『あたし、処女じゃないわ』
 ヨウコが言った言葉が、頭の中に反芻される。
 その前の会長とやらが、ヨウコの相手だったというのか。
 
 ヨウコとは一年から同じクラスで、いつの頃からか好きになっていた。
 俺は彼女のことは、事あるごとに見ていた。ヨウコはそんな事知りもしないだろう。
 だが、そんな俺でも、ヨウコが誰かと付き合っている事までは気づかなかった。
 明らかに気づいていたら、わざわざ生徒会に入って告白したりはしないのだ。
 だが、告白して間違ったとは思わない。返事は貰えていないが、関係を持つに至った。
 既成事実を作るという考えがヨウコに通用するとは思えないが、今はそれで十分だろう。
 それに、現在この国にいない男の事を気にしても仕方がない。
 そもそも、この話自体が確定的な話ではなかった。あくまで噂なのである。

「じゃあ、俺とハヤカワさんは、第三者から見たらどういう風に思われるのかな?」
「えっ?」
「ただ一緒に帰るくらいじゃ、男と女って感じには、見えないか?」
「そりゃあ……だって、まだ、何にもしてないわけだし」
「昨日は、俺にキスしてくれたけど、それじゃあまだ足りないかな」
「ちょっと、何を言ってるのよ……!」
「別に、嘘は言ってないだろう?」


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