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変態少年と、天然お嬢様の物語
【学園物 恋愛小説】

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付き合い始めて一週間…事件は起きた。-4

 体育館裏に行くと、一人の女子生徒が居た。
 見覚えはある。確か彼女は…
 そうだ。麗音の熱烈なファンである下村 明美(しもむら あけみ)だ。
 噂によると、医者の娘であることをいいことに金を使って色々な悪さをしているとか。
 そして性格もかなり悪いらしい。気に入らない奴は潰す。そんな奴だ。
 できればかかわりたくなかったのになぁ…
 しかもこいつ、なぜか私のことをライバル視している。
 そんな彼女に呼び出されるとは…これは身の危険しか感じない。

「…ようやく来たわね…真菜」

「あの脅迫メールは君の仕業?」

「えぇ、そうよ」

「…んで、私に何の用かな。こんな所に呼び出して」

 私が冷静にそういうと、彼女も冷静にこう返した。

「最近私の麗音君と付き合い始めて調子に乗ってるみたいだから」

「調子になんか乗ってないよ。ていうか…麗音は君のじゃないし。この妄想女」

「…貴方…私にそんな口聞いていいわけ?」

 今の一言でかなりカチンと来たようで、彼女は指をぱちんと鳴らした。
 どこからか数人の男が出てくる。彼女に呼び出されたことでこうなることは最初から予想はできていた。逃げようとした瞬間、男の一人に取り押さえられる。
 両手を拘束され、その場に座らされた。
 彼女が携帯を片手にゆっくりと近づいてくる。そして私の耳元でこう囁いた。

「…彼にあのこと…ばらされてもいいの?」

 黙る私に、彼女は続けた。

「貴方のお父さんが人殺しだって知ったらどんな顔をするでしょうね…彼」

 ニヤニヤしながら言う彼女に私は何も言い返せない。
 私の父は人を殺した。母を連れ去り、犯した男を。
 母は犯されたショックで自殺。父も逮捕された。
 父は逮捕されるときこういっていた「ごめんな、真菜」と。あの時お父さんが泣いていたのは今でも覚えている。
 そんなことは彼女は知らない。知っているのは父が人を殺したと言うことだけ。

「哀れね…彼も人殺しの娘と付き合うなんて…どうかしてる」

 その一言は私の胸に深く突き刺さった。怒りがこみ上げてくる。

「やっぱりこんな人殺しの娘は彼にはつりあわないわ。貴方達、好きにしていいわよ」

 にやりと怪しげな笑みを浮かべて彼女が言うと、私を取り押さえていた男が私を押し倒した。そして服を脱がしにかかる。

「んな…!」

「ようやくかよ〜。へへへ…女子高生をヤれるなんて久しぶりだぜ…」

「ちょ、ちょっと…や…さ、触らないで…」

 彼に助けられたときの記憶が蘇る。あの時もこんな感じだった。
 いろんなところを撫で回されて…
 変な快楽でおかしくなりかけたときに彼が来てくれたんだ。
 今回もきっと来るよね。信じながら必死に抵抗を続けた。
 けれどやっぱり男の人の力には勝てないようで…

「や、やめて…」

「いいねぇ〜…そういう声出されるとたまんねぇ」

「こ、この変態…!触るな…って…んぁ…」

 足をばたつかせるが、別の男が抑えていてびくともしない。手も同じ。
 叫ぼうとしたら口を塞がれた。誰も気づいてくれない。
 あの時はぎりぎりに彼が来てくれたんだったな…と思いながら希望を捨てない私。
 でもどこかでは諦めかけていた。
 だんだんと抵抗する気力も薄れる。もう…いいや。どうでも。
 どうせ私は彼女の言うとおり、人殺しの娘なんだ。
 ばれれば捨てられるに決まっている。
 そう思って私は体の力を抜いた。


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