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It's
【ラブコメ 官能小説】

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★★-7

翌朝目覚めると、陽向が隣でスヤスヤと眠っていた。
湊はしばらくその寝顔を見つめていた。
ほっぺたに手を当てて親指で撫でると、陽向はうっすらと目を開いた。
「おはよ」
湊がそう言うと、陽向は少し驚いた顔をしていた。
「どーした、そんな顔して」
「夢かと…思った」
「なにが?」
「こんなことしたって…」
陽向は布団に顔を埋めて答えた。
「夢じゃねーよ」
小さな身体を抱き寄せる。
「つーかお前、ほんとチビだよな」
前から思っていたが、昨日、陽向の身体を見て改めて実感した。
きっと、痛かったんじゃないだろうか。
「バカにしないでよ!」
「してねーよ。昨日さ…痛かった?」
「…ちょっとだけ」
「次は優しくする」
湊の言葉に陽向はヒヒッと笑った。
間近でやられた笑顔に、心臓がドクンと疼く。
「お前がまともに笑った顔初めて見たかも」
「そう?」
「いっつもプリプリしてたじゃん」
「そんなことないよ」
「俺のことめちゃくちゃ嫌いだったもんな?」
「いじわるばっかするんだもん」
「なんつーか、いじりがいがあるんだよなー。からかうとすぐ怒んだもん」
「嫌なことばっかするからでしょ」
「でも、そーされんともっといじめたくなんの」
「何それ。小学生と同じじゃん」
「同じですね」
湊は笑いながら起き上がると、ベッドの下に散らばった服を片付け、スエットに着替えた。
陽向にも部屋着を渡してやる。
まだ眠いのか、ノロノロと着替えてまたベッドに寝そべってしまった。
湊もウトウトしている陽向の横に寝そべる。
「まだ眠い?」
「ん…」
「寝起き悪いのな」
陽向の寝顔を見ていると、なんだか心が満たされる。
髪を撫でると、その手をギュッと握られた。
「手も小っちぇーな」
「またバカにするの?」
「してねーよ。何でそーなるかねぇ」
クリクリした目を見つめると、陽向はパッと目を逸らして目を閉じた。
「おやすみ、陽向」
湊が言うと「おやすみ…」と小さな声で陽向は呟いた。

陽向が再び目を覚ましたのは昼過ぎになってからだった。
「…っくしゅ」
なんだか寒気がする。
頭も痛い。
布団から出て重い身体をリビングまで運ぶ。
「…おはよ」
「おー。やっと起きた」
湊はソファーに座ってテレビを見ていた。
コーヒーのいい香りが鼻を掠める。
「…っくしゅ。あー…さぶい」
「風邪引いた?」
「わかんない」
湊の隣に座ると、大きな手のひらでおでこに触れられた。
「熱あんじゃねーの?すげー熱いけど。しかも顔もだるそーだし」
湊はサイドテーブルから体温計を取り出し、陽向に渡した。
それを受け取り脇に挟む。
頭がボーッとする…。
「陽向」
「えっ!?」
気付いたらウトウトしていたみたいだ。
湊の声にはっとなる。
「体温計鳴ってんのも気付かなかった?見してみ」
自分で確認してみると38.6℃だった。
寒気もするわけだ。
「服着ないで寝たのがいけなかったのかねー」
「そーかもね」
ズルズルと鼻をすすりながら答える。
「ま、でもこんくらいならへーきだよ」
「風邪を甘くみんなよ。寝てろ」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられる。
湊に促され、またベッドへ戻る。
起きたばかりだったので、布団がまだ温かい。
寝そべると急に具合が悪くなってきた…。
「大丈夫?」
「うん…寒い」
そう言うと、湊はクローゼットから毛布を取り出して布団の上からかけた。
「気休めかもしんねーけど」
湊は口をへの字に曲げて笑った。
さりげない優しさにキュンとなる。
「ありがと」
「いーえ」
立ち上がり、去ろうとした湊の小指をギュッと握る。
「なによ」
ここにいて欲しい。
でも恥ずかしくてそんなこと言えない。
「…なんでもない」
「あそ」
手を離すと、湊は「ゆっくりしてな」と言ってドアの前まで歩いて行き、部屋から出ようとした。
「湊…」
「ん?」
なんか…ドキドキする…。
「待って…」
「なんか欲しいもんでもある?」
また側まで戻ってきてくれた。
「ちがくて…」
陽向は赤い顔を更に赤くした。
「じゃーなんだよ」
「…ここにいて」
陽向がそう呟くと、湊はケラケラ笑った。
「らしくねーなー。お前、そんなキャラだっけ?」
「うるさいな!」
「意外と乙女なんだな」
「悪い?」
「悪くねーよ」
湊は床にあぐらをかいて座り、陽向の髪を撫でた。
「寝るまでここにいてやるから」
布団から少し出た手に指が絡められ、ギュッと握られる。
すぐ側で、整った顔が微笑む。
陽向は湊の温かい手を握りしめて幸せな眠りに落ちた。

そのまま自分も眠ってしまっていた。
目を開けた時、目の前でほっぺたを赤くした陽向が眠っていた。
苦しそうに肩で息をしており、顔がさっきよりも赤い気がする。
悪化したんじゃないだろうか。
「…っくしゅ!」
陽向は自分のくしゃみで目覚めた。
「陽向?大丈夫?苦しい?」
「ん…起きたい」
湊は立ち上がってベッドに腰掛けると、陽向の身体を抱き起こして背中をさすった。
右肩に小さな頭がコツンと乗っかった。
微かに喘鳴のようなものが聞こえる。
陽向は体育座りをして苦しそうにしている。


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